日本版ISAの利用方法の検討(3) 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
FC2ブログ

日本版ISAの利用方法の検討(3)

こんにちは、中田たろうです。

今年3月と5月のエントリで、NISAの活用方法について検討をしていますが、今回はその続編です。
非課税期間終了後の出口戦略について検討してみます。

資産形成世代の長期投資家、インデックス投資家のみなさんの中には、リタイア後に資産をどのように売却して現金化するか、明確な「出口戦略」を決めている方はあまり多くないのではないかと想像します。
私自身も、「そのときの資産状況や支出の状況次第で、柔軟に対応すればいいだろう」という程度でぼんやりとした考えはありますが、明確な方針は決めていません。

しかし、NISA口座においては、非課税期間終了時の「出口戦略」によって、最終的なリターンが大きく変わるケースもあり、「ドルコストでほったらかし」ではうまくいかないことも考えられます。

たとえば、2014年に開設したNISA口座で、100万円分のインデックス投信を購入したとします。
5年後、2019年のNISA口座へこの投信をロールオーバー(移管)したとすると、その口座の非課税期間が終わる2023年末までには、このインデックス投信を売却するか、所定の手続きをして課税口座(特定口座か一般口座)へ移管することになります。
2023年にまだリタイアしていなければ、多くの方は課税口座への移管を検討されると思います。

このとき、課税口座での取得価格は、移管日の基準価額になります。
この取得価格が、将来の税金に影響するのです。

たとえば、2014年1月にAファンド100万口を基準価額10,000円、100万円で購入したとします。
2019年に100万口をロールオーバーしました。
それを2023年に課税口座へ移管する場合を考えてみます。

Aファンドの基準価額が、2023年1月に15,000円、2023年7月に18,000円、2023年12月末に13,000円だったとします。
Aファンドを課税口座へ移管したときの取得価格は、2023年1月に移管すれば150万円、2023年7月ならば180万円、2023年12月末ならば130万円になります。

リタイア後にこのAファンド100万口を売却して現金化したとします。
売却価額が20,000円だとすると、売却額は200万円になり、100万円の差益を得たことになります。

この収益に対する税金は、移管したタイミング=取得価格によって変わります。
売却差益は、2023年1月に移管したならば50万円、7月ならば20万円、12月末ならば70万円です。
税率20%とすれば、それぞれ10万円、4万円、14万円が税金として引かれることになります。

この例の場合では、NISA口座から課税口座へ移管するタイミングが違うだけで、税額が10万円(投資額の1割)もの大きな差がつきます。
つまり、NISAでの運用においては、「いつ買うか」「いつ売るか」だけでなく、「NISA口座から非課税口座へいつ移管するか」も、将来のリターンに影響するということです。

基準価額が高いときに移管すれば、将来の売却時の税金が有利です。
「今が相場のピークだ」と思えば、非課税期間の最終年でなくても、さっさと課税口座へ移管したほうが有利になるケースもありえるわけです。

しかし、そのベストタイミングを判断するのは非常に難しいです。
2014年から2023年まで、毎年NISA口座を開設してフル活用すると、2023年から2027年までの毎年ごとに非課税期間の終了を迎えることになるので、少なくともこの5年間は「いつ移管するか」で頭を悩ませることになりそうです。

そこで、移管タイミングの検討に手間をかけない方法を考えてみます。

ドルコストで時間分散して積み立てるのと同じように、NISA口座から非課税口座への移管も時間分散する方法があるでしょう。

たとえばこのエントリのケースでは、保有する100万口を、非課税期間の最終年に、毎月8万口強ずつ移管するようなやり方です。
ただし、任意の口数で分割して移管できるかどうか、口座開設前に金融機関への確認が必要です。

もしも金融機関が口数の分割移管に対応していないならば、複数の銘柄への分散投資もあるでしょう。
たとえば、外国株式インデックスe、SMTグローバル株式インデックス、あるいはETFなど、複数の低コストファンドに分散投資して、移管するタイミングを銘柄ごとに分散させる、という手法が考えられます。
この場合も、銘柄ごとの移管に金融機関が対応するか要確認です。

それらのような分散方法が面倒な人は、「非課税期間最終年の年末になるまで移管しない」などと、あらかじめ自分でルールを決めておくことになるでしょうか。

制度の詳細が明確にならないと、これ以上の検討は難しいように思います。

しかし、NISAは本当に複雑で面倒な制度だなあ。。。
制度を恒久化すれば、もう少し使い勝手がよくなるのですが。
そんな制度でも、節税によるリターンの向上が期待できるので、私は積極的に利用します。
出口戦略も含めた活用法の検討は、じっくりと慎重に行います。

関連記事

2013/07/29 09:00 | NISACOMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

ついにNISA株式取引手数料永久無料登場!

いやあ、今日夕方松井証券のホームページを見て、唖然としました。ついに『NISA口座での株式取引手数料恒久無料』の会社の登場です。買付のみならず、売却も無料とは…。
>この手数料はNISA導入年に限った期間限定サービスや条件を設けたキャンペーンではありません。
と明記されています。

たぶん、他社でこれに追随するところも出てくるでしょう。これで、『どこの金融機関でNISA口座を作るか』の判断が、さらに白熱化して、難しくなりそうです。投資家サイドとしては、もちろん歓迎すべきことですが。

No:675 2013/08/23 18:26 | 麻垣康三 #- URL [ 編集 ]

> 麻垣康三様

情報提供のコメントありがとうございます。
松井証券、がんばりましたね。
ETFや個別株式での運用を考えている人には朗報ですが、将来、非課税口座へ移管したときは手数料が無料にならないので、検討のときに注意が必要でしょうか。

No:676 2013/08/23 21:20 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

もしNISA保有株にTOBがあったら

どの金融機関でNISA口座をつくるか色々検討するうち、意外な事実を発見しました。もしNISAで買った株式にTOBがかかった場合です。市場株価がTOB価格を下回っている場合(応募株数全部は買い付けないとき、などで、よくあります)には、市場で売るよりもTOB応募の方が有利ですが、この応募は、公開買付代理人である証券会社に株式を移管したうえで行うのが、現在の「証券業界の慣行」(?)です(株式の移管手数料をとる証券会社でも、このTOB応募に関しては無料にしてるところも多数あるくらいです)。

ところが、NISAで保有してる株式では、NISA口座のある証券会社がまさしく公開買付代理人であるというレアケースを除けば、この移管が非課税のままではできません。応募しようと移管をした時点で非課税は終わり、その時点の時価で取得したものとみなされてしまいます(TOB応募の結果が不首尾でも)。たまたま公開買付代理人である証券会社でNISA口座を開いてその銘柄を持っていた投資家と、はっきりと不公平が生ずるわけです。

この不公平は、法的には、友好的TOBであればその株式発行会社による会社法上の「株主平等の原則」違反になるでしょうし、税務上も、たまたまどの証券会社でNISA口座を開いていたかで税額に差を生ずるという憲法上の「法の下の平等」に抵触する、とも考えられます。

某証券会社(大々的キャンペーン中です)にこの件を問い合わせましたが、「NISA保有株にTOBがあった場合の取扱いは未定」という、つれない回答でした。実務的には、NISA口座のある証券会社が公開買付代理人である証券会社の「復代理人」になる、という方法がありそうなのですが(これなら、株式移管もせずに非課税でTOB応募が可能らしい)、これには証券業界の内部事情も絡んでいるらしく、今後そうなるかどうかは分かりません。

No:680 2013/09/27 03:49 | 麻垣康三 #- URL [ 編集 ]

> 麻垣康三 様

コメントありがとうございます。
NISA口座で個別株への投資を行うときは注意が必要ですね。
TOBに限りませんが、NISA口座での取り引きには不明点が多いので、各金融機関には正確な情報を早く提供してほしいですね。

No:682 2013/10/01 22:35 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

記事の内容と無関係なもの、広告や宣伝と思われるもの、他者への敬意に欠ける内容など、管理人が不適切と判断したコメントは、削除させていただく場合があります。ご容赦ください。



記事の内容と無関係なもの、広告や宣伝と思われるトラックバックは、削除させていただく場合があります。ご容赦ください。


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | BLOG TOP |