eMAXIS新興国株式のリターンがSTAMに負けているのはなぜ? 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
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eMAXIS新興国株式のリターンがSTAMに負けているのはなぜ?

こんにちは。中田たろうです。

三菱UFJ投信のeMAXISシリーズが販売されたのは昨年10月末からで、6か月が経過しました。
同社のウエブサイトで4月末時点でのファンドの月報を確認すると、今回分から直近6か月のファンドとベンチマークのリターンが計算されていました。

下記のエントリでは、eMAXISの設定3か月後のリターンをSTAMシリーズと比較しています。

 2010/2/12「STAMとeMAXISのパフォーマンス比較」
 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-598.html

今回のエントリでは、6か月のパフォーマンスを比べてみました。

 (表)2010年4月末時点での直近6か月のリターン
  ベンチ 
マーク
 STAM  eMAXIS 
TOPIX10.32%11.42%11.29%
国内債券1.77%1.52%1.52%
国内REIT10.78%10.16%10.30%
先進国株式10.31%10.79%10.91%
先進国債券-1.70%-2.33%-2.34%
 先進国REIT 24.34%22.80%23.32%
新興国株式13.23%13.12%12.33%

6か月という短い期間での比較なので、STAMとeMAXISに明確な差はつきにくいです。
国内と先進国の株式と債券、それに国内REITの5ファンドでは、両者の差は0.1%くらいの範囲で「ちょっとした誤差」と言える程度のものだと思います。

しかし、気になるのは新興国株式で、STAMに比べてeMAXISは0.79%も劣っています。
ちなみにファンドの信託報酬は、STAM新興国株式が年率0.8715%、eMAXIS新興国株式が年率0.63%で、eMAXISのほうが年率0.2415%も低くなっています。
両者は同じベンチマークに連動するように運用されているのですから、この差は見過ごせません。

<5/18追記>
日興AMの「年金積立インデックスファンド海外新興国株式」(信託報酬は年率0.8295%)の直近6か月のリターンは12.91%で、STAMには劣るもののeMAXISには勝っています。


ベンチマークと比べると、eMAXIS新興国株式はたったの半年で0.9%も劣後しています。
この要因として考えられるのは、私は「その他コスト」だと思っています。

 2010/4/8「eMAXIS新興国株式の第1期決算の保有コスト総額を推計」
 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-624.html

三菱UFJ投信は「簡便法の影響で運用報告書の1万口当たりの費用は割高になっている」と言っているようですが、上記のエントリでは簡便法の影響を排除した試算を行ってみました。
その結果は、eMAXIS新興国株式の実質的な保有コストは年率3%弱でした。

仮にこの試算が正しいとすると、6か月間の保有コストは1.5%弱です。
ベンチマークは配当金収益を含んでいませんので、新興国株式インデックスの配当利回りが仮に年率2%とすれば、ファンド内部でのインカムゲインは半年で1%になります。
両者を相殺すればマイナス0.5%弱となり、ベンチマークから0.9%劣後していることと帳尻を合わせやすくなります。

今年になってからeMAXIS新興国株式へは、継続的に新規資金が流入しています。
ファンドの純資産額は先週末で36.15億円ですが、今年1月は8.27億円、2月は5.58億円、3月は5.22億円が流入しています。
新規資金が増えれば、売買委託手数料など信託報酬以外のコストがファンドの内部で増えます。
マザーファンドの規模が大きければそれらのコストは希釈化されるのですが、純資産額が40億円足らずでは、影響は小さくないだろうと思っています。

もちろん、コストに関する私の考察が誤りである可能性もあります。
しかし、その場合は「三菱UFJ投信は新興国株式のパッシブ運用があまり上手ではなく、ベンチマークに連動できていない」ことになるでしょう。
どちらの場合であっても、eMAXIS新興国株式への投資は、現状では慎重に判断したいところです。

上記の考察は私の「憶測」を含んでいるので、やや根拠に乏しいです。
半年程度の運用期間では、ファンドの優劣を判断することはできないと思っています。
投資判断は自己責任でお願いします。

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2010/05/17 09:00 | ETF・インデックスファンドCOMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

他に考えられるとするなら各国の口座費用とかも足を引っ張っているかもしれません。特に新興国に口座を作るとなると様々なしがらみやコストが発生すると思われます。仮にこれが正解だといくら待っても改善されることは無いでしょう。

為替の関係でうまく移管出来ていないケースも。資金に余裕があればこの手のリスクは未然に防げるようですが、運用会社のテクが問われるかと。

完全法ではないでしょうから、この点でも差が付いているかもしれません。

いずれにしろインデックスだから皆結果が同じと考えるのはアレだと思いますよ。流動性の少ない新興国株なら尚更です。

No:392 2010/05/18 21:34 | Mc.N #9L.cY0cg URL [ 編集 ]

> Mc.N 様

コメントありがとうございます。

> いずれにしろインデックスだから皆結果が同じと考えるのはアレだと思いますよ。

その通りだと思います。
CMAMインデックスeシリーズのように実績があるマザーファンドで運用される新規ファンドは大丈夫でしょうが、マザーファンドも新規設定されたeMAXIS新興国株式はもっと慎重に判断すべきでしょうね。

No:393 2010/05/19 20:34 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

個人的な推測としては以下が結論です。
「新興国株式というアセットでは、その程度は多少の運用巧拙で簡単に出る」

資産規模が大きいEEMでもコストの差では説明がつかない程に指数と乖離が生じることもしばしば見受けられます。
前回中田たろうさんも書かれたように、たった3ヶ月でSTAMが配当含まずのベンチマークから1%以上負けているようにコストでは説明がつかないほど他の要因が大きいでしょう。


eMAXISとSTAMは同じインデックスへ連動を目指していますが、VWOやADRを使うか、現物(+優先株)を使うかのように運用手法はかなり違います。
EEMとVWOでも運用方法の違いからか、それなりの乖離があるのですから、この規模のファンド同士で比較すれば0.9%程度の差がでることは十分に考えられるのではないでしょうか。

いずれにしてもSTAMもeMAXISもまだまだ不完全でこれからのファンドでしょう。
(資産規模の小さいeMAXISは当然ですし、VWOを組みこんでいるSTAMもまだまだ改善の余地ありだと思っています)

No:395 2010/05/21 20:17 | 吊られた男 #zdvXpt9s URL編集 ]

> 吊られた男様

コメントありがとうございます。
新興国株式の運用は、流動性や現地での保管費用など、いろいろ難しいのだろうと私も思っています。
海外ETFも含めてどのファンドがベターかを事前に見通すことはできないので、投資家としては判断が難しいですね。

No:398 2010/05/22 13:38 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

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