「申告分離課税で外国税額控除を申告」で「合法的な節税」が可能 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング

「申告分離課税で外国税額控除を申告」で「合法的な節税」が可能

こんにちは。中田たろうです。

2月も2週目になって、「そろそろ確定申告の準備を始めなければ…」とお考えの方もいらっしゃると思います。
2009年分の所得税の確定申告は、受付期間が2010年2月16日(火)から3月15日(月)までです。
還付申告の場合はそれ以前でも申告が可能ですので、税務署の窓口が混雑する前に申告されることをおすすめします。

先月、外国税額控除の確定申告について記事を書きました。

 2010/1/21 「海外ETFの分配金と譲渡損失の損益通算」と「外国税額控除」
 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-585.html

このエントリの末尾に追記で記した「合法的な節税」について、「マイナス100円の譲渡損失」を計上しなくても、配当所得で申告分離課税を選択して、海外ETFの外国税額控除の申告ができることが判明しました。
今年の確定申告から、「合法的な節税」がさっそく可能だと思われます。

まず、配当所得の課税について、確認をしておきます。

 配当金を受け取ったとき(配当所得)
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1330.htm
 上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm

詳しくは上記の国税庁のウエブサイトを参照いただきたいですが、ポイントを要約すると、下記の3つからの選択になります。

 1.確定申告不要制度=源泉徴収で課税が完結
 2.申告分離課税=所得税7%、住民税3%(2011年までの軽減税率)
 3.総合課税=5~40%の6段階の累進課税、住民税は一律10%

海外ETFの分配金で外国税額控除を申告する場合、昨年までは「総合課税」しか選択肢がなかったのですが、今年からは申告分離課税も選択できるようになりました。

総合課税と申告分離課税の税率の差は、住民税も合わせると5~40%になります。
申告分離課税を選択すればかなり有利で「合法的な節税」が可能です。

ここからは、実務的な部分を少し解説します。

bunpai.jpg

上記は米国ETFの分配金で「確定申告不要制度」を選択した場合の税金の内訳です。
たとえば円貨に換算して税込みで10万円の配当所得の場合、下記の金額が源泉徴収され、手取りは81,000円になります。

 米国税 10,000円
 所得税 6,300円
 住民税 2,700円

「申告分離課税」を選択した場合、10万円の配当所得に対して所得税7%、住民税3%が課税されるので、国内税額は

 所得税 7,000円
 住民税 3,000円

となります。
源泉徴収額の9,000円と比べて、1,000円増えることになります。
国内税の源泉徴収は外国税控除後の90,000円に対して10%の税額なのに対して、申告分離課税は外国税控除前の金額で税額が計算されるので注意が必要です(国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で確認しました)。
国内税額が増えても、外国税額控除を申告するとこのうちの何割かが還付されることになり、トータルではお得になるケースがほとんどだと思います。

ただし、外国税額控除を申告しないで「確定申告不要制度」を選択した場合が有利になるケースとして、
・年末調整で課税関係が完結しているサラリーマンで、給与以外の所得が20万円以下は確定申告不要を選択
・扶養控除、配偶者控除の対象になっている人が、外国税額控除を申告すると控除枠を超える所得になる
などが考えられます。

また、「総合課税」を選択したほうが有利になる例外的なケースとして、早期リタイアして年金受給開始前の方や主婦等の所得が少額の方で、基礎控除(38万円)や医療費控除などを差し引いた後の総合課税の課税対象所得がゼロ円の場合などが考えられます。

どのような選択をするか、それぞれの所得の状況に合わせて判断する必要があるでしょう。


さらに、前回のエントリのコメントでTelly様が言及された「外国上場株式等(海外ETFを含む)のキャピタルゲインの国外所得への算入」は、可能であるとの見解を税務署で得ました。
国外所得が増えれば、外国税額控除の「控除限度額」が上がり、還付額も増えることになります。

インデックス投信と比較したときの海外ETFのデメリットとして
 1)取引手数料が割高
 2)株価が下がったときも「特別分配金」にはならず、常に現地と国内で二重課税される
 3)国内ネット証券では特定口座で取り引きできない
があります。

しかし「海外ETFを売却した年」に限ってですが、
 A)譲渡益が発生したときは、国外所得が増えて外国税額控除の還付額が増える
 B)譲渡損失が発生したときは、分配金と損益通算できて還付額が増える
というメリットが生まれることになり、前述のデメリットは少しだけ相殺できそうです。


なお、このエントリの内容は、税務署の職員に確認したものを私がまとめたものです。
税務署の解釈が間違えている場合もあるので、このエントリの税務についての記述は100%の保証はありません。
個別の確定申告で参考にされる場合は、税務署や税理士へご確認いただくことをおすすめします。
さらに、税理士法に抵触するような個別の税務に関するご質問はご遠慮ください(コメントでそのような質問があったときは、勝手ながら管理人の判断で削除させていただく場合があります)。

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2010/02/09 09:00 | 確定申告・外国税額控除COMMENT(16)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

損益通算をしないのであれば、外国税額控除を申告した上で、配当欄は未記入(源泉徴収で完結)にした方が、税額は低くなるのでないですか?

確定申告書等作成コーナーでは上記で動作しましたが、税法的に問題があるから、この記述がないという事でしょうか?

No:295 2010/02/10 00:03 | ETFクン #JalddpaA URL [ 編集 ]

> ETFクン様

源泉徴収で課税を完結した場合は、第二表に記入する配当所得の源泉徴収税額、配当の国外所得額、配当の外国税額、これらのすべてが申告書では「ゼロ円」になるはずです。
したがって、当然ながら外国税額控除額も「ゼロ円」になります(配当以外に国外所得があるケースは除きます)。

ETFクン様のケースは、申告書の記入ミスになるような気がします。
もしも確定申告を済まされたのであれば、修正申告が必要だと思いますので、税務署で相談をされたほうがよろしいのではないでしょうか。

No:296 2010/02/10 18:45 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

中田たろうさん

その後も調査していますが、「損益通算と外国税額控除の併用不可。外国税額控除は総合課税のみ」という税務署も複数ありました。

ちなみにうちの税務署は、昨日やっとお返事を頂きましたが、分離課税でOKだそうです。とりあえず、地元がOKならよいです。これでようやく申告の準備ができました。

でも、外国税額控除の計算は複雑ですね。
e-taxをうまく利用して自動計算させないと、手計算は結構な手間です。(^^;)

No:297 2010/02/11 16:51 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]

> 第二表に記入する配当所得の源泉徴収税額、配当の国外所得額、配当の外国税額、これらのすべてが申告書では「ゼロ円」になるはずです。

上記がどこを指しているかは分かりませんでしたが、
『確定申告書等作成コーナー』で確認した所、
『所得・所得控除等入力』の
『配当』、及び『上場株式等に係る配当所得』は未記入で、
『外国税額控除』の
『相手国での課税標準』と『左に係る外国所得税額』は記入してありました。

なお、上記に記入した内容はSBI証券の
『米国ETF 銘柄「***」分配金支払いのご連絡』に記載されていたものとなり、
国外所得は海外ETFの配当のみです
(というか国内・国外合わせて、確定収益は海外ETFの配当だけです)。

ちなみに税務署に相談したところ、下記の回答でクローズとなりました。
1. 質問内容が専門的過ぎてわかりません。
2. 提出されたものを調べる事はまずありません。

No:298 2010/02/11 17:01 | ETFクン #JalddpaA URL [ 編集 ]

ETFクンさん

>配当欄は未記入(源泉徴収で完結)にした方が


http://www.jsda.or.jp/html/foreign/fminfo/info1/zeisei.html

にも下記の通り書かれています。

・ 外国税額控除
申告不要制度の適用を受けない場合には、確定申告により、国外で源泉徴収された外国所得税相当額について、本邦の所得税額等から控除することができる制度が設けられています。

No:299 2010/02/11 17:21 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]

> 奈々パパ様

> 「損益通算と外国税額控除の併用不可。外国税額控除は総合課税のみ」という税務署も複数ありました。

こういうときは「確定申告書等作成コーナー」を使って申告分離課税で申告して、認識を改めてもらうしかないでしょうね。


> ETFクン様

確定申告不要制度を選択して源泉徴収で完結させた場合は、申告書の中では「本文中の図の、オレンジも、グリーンも、ブルーも、すべてがゼロ円になります。
すなわち「海外ETFの分配金がゼロ円」と同じことになるので、外国税額控除を申告しても控除額はゼロ円にしかなりませんよ。

No:300 2010/02/11 21:36 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

こんにちは

譲渡損失の損益通算を利用して、VTI等の配当金から所得税を還付するために確定申告を書き始めたんですが、名称と所在地ってどうするんですかね?
 名称はヴァンガードトータルインデックスと片仮名で、所在地はETFを購入した楽天証券の本社をとりあえず記入しておきましたが。。

No:301 2010/02/12 00:22 | enoken #- URL [ 編集 ]

>(国税庁の「国内税の源泉徴収は外国税控除後の90,000円に対して10%の税額なのに対して、申告分離課税は外国税控除前の金額で税額が計算されるので注意が必要です(国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で確認しました)。


気づきませんでした。ありがとうございます。
「確定申告書等作成コーナー」で該当箇所を検索してみましたが、うまく見つけられませんでした。どのように探されたのでしょうか?



No:310 2010/02/17 10:34 | HAL #- URL [ 編集 ]

> enoken様

うっかりコメントの返信を忘れていました。すみませんでした。
申告書の具体的な書き方は、私ではなく税務署で質問をされたほうがいいと思いますよ。


> HAL様

「確定申告書等作成コーナー」で、仮想の配当所得の金額を入力して、さらに仮想の外国税額控除の金額も入力して、申告分離課税の税額が何円になるか確認しました。

No:311 2010/02/17 21:56 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

中田たろう様

ありがとうございます。
これでなんとか私も確定申告に向かえそうです。
とても参考になります。

No:312 2010/02/20 20:01 | HAL #- URL [ 編集 ]

非課税

>また、「総合課税」を選択したほうが有利になる例外的なケースとして、早期リタイアして年金受給開始前の方や主婦等の所得が少額の方で、基礎控除(38万円)や医療費控除などを差し引いた後の総合課税の課税対象所得がゼロ円の場合などが考えられます。


ですが、
私も当初子供たちの外国株の配当を還付申告するのに、外国税額控除などの計算をしていましたが、よく考えると、基礎控除の範囲内だと(38万円)、非課税なので、配当所得として申告すると源泉徴収分が全額買ってきます。

ただ、住民税は基礎控除が33万円ですが、実際には。


所得割:給与収入で100万円以下
均等割:給与収入で93万円・96万5千円・100万円以下(自治体で違いあり)

で住民税がかかるそうです。
そうすると、親や配偶者の扶養からも外れる。


そういうことで、マネックスに子供たちの口座を開設して外国株の特定口座を作りました。


所得税住民税以外にも、
色々と、損得を計算しないといけないことが多い。
おまけに、、現場に聞いても必ずしも正しい回答が得られる保証がないので、自分で理論武装をしていないと損をする可能性があるので、大変ですね。

http://usamimi1969.blog21.fc2.com/blog-entry-32.html

No:697 2014/03/01 07:40 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]

大変勉強になりました

非常に有用なエントリをありがとうございました。
外国税額控除の情報が少なく四苦八苦している中、大いに参照させて頂きました。
勝手ながら自分のブログで引用させて頂いた部分があり、もし問題があるようでしたらご一報いただけるとありがたく思います。

ttp://sentimentalrealist.blog.fc2.com/blog-entry-45.html

No:701 2015/01/12 14:40 | KEN:D(けんでぃ) #mQop/nM. URL編集 ]

> KEN:D様

コメントありがとうございます。
海外ETFの外国税額控除について、少しでも参考になれば幸いです。
今後もどうそよろしくお願いします。

No:702 2015/01/14 20:38 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

配当の申告時期について

外国税額控除について調べているときに辿り着き、大変助かっております。

配当の支払いについて、現地支払いと国内支払いが年をまたいでいる場合にはどちらで申告すべきなんでしょうかね?

日本証券業協会の発行している刊行物では、「源泉徴収選択口座に受入れた配当については、源泉徴収選択口座が開設されている金融商品取引業者等から交付を受けた日になる」とあるので、国内支払いを受けた年の確定申告ということになるんでしょうか…
http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/zeisei_2-3.pdf

No:719 2016/01/18 18:20 | リンタロー #d/CpiV46 URL [ 編集 ]

Re: 配当の申告時期について

> リンタロー様

コメントありがとうございます。
私のブログが参考になれば幸いです。

ご質問について、これは私見ですが、現地支払日か、国内支払日か、どちらかに統一して申告すれば、とくに問題はないだろうと思います。
「2015年分は国内支払日、2016年分は現地支払日」などのように統一しない場合は、申告漏れが生じる可能性がありますね。

No:720 2016/01/19 21:46 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

中田たろう様
有難うございます。
明確にどちらで記載しろとしているものはなく、どうしたものかと苦慮しておりました。
国内支払い日に統一して、配当の申告と外国税額控除の手続きをしたいと思います。

No:722 2016/01/20 10:19 | リンタロー #d/CpiV46 URL [ 編集 ]

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