外国籍ならば「まともなETF」の国内上場は可能性がありそう? 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
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外国籍ならば「まともなETF」の国内上場は可能性がありそう?

こんにちは。中田たろうです。

日付は2週間前でやや古いですが、NYダウ連動のETFについての興味深い記事があります。

 QUICK MoneyLife 投信ニューフェース『NYダウETF』(シンプレクス)
 http://money.quick.co.jp/fund/selection/137.html

いくつかのインデックス投資ブログで紹介された記事なので、目にした方もいらっしゃると思います。
記事の中には「米国株式の国内上場ETFの税務リスク」についての指摘があります。
この「税務リスク」について、私なりに整理してみると、

・国内籍ETFで米国株式を直接運用すると、配当金課税の税務リスクが発生する可能性がある
・NTダウETFはファンド・オブ・ファンズ形式で、マザーファンドはケイマン籍
・ケイマン諸島は米国と租税条約を結んでいない
・マザーファンドでは、株式の配当金に対して税率30%で米国で課税されており、国内分の税金と合わせると「配当の二重課税」になる

というあたりになると思います(私は税務の専門家ではないので、記事に書かれている以上の税務リスクの詳しい内容については言及できません)。

国内上場の外国株式指数連動型ETFは、現在8銘柄あります。
これらの8銘柄は、税務リスクをどのように解消しているのか、気になったので調べてみました。

記事の中のインタビューでは、

国内籍のETFにすることで、特定口座を活用した簡便な税務処理や信用取引の活用、海外籍ETFの売買で必要となる外国為替手数料は不要など、配当金の二重課税を排除できないデメリットを補って余りある様々なメリットがあるのではないかと判断している

というくだりがあります。
試算をしてみると、NYダウの配当利回りが3%とすると、現地で税金が30%=年率0.9%引かれて、さらに信託報酬が年率0.6075%、合わせて1.5075%が「NYダウETFの実質的な保有コスト」になります。
「配当金の二重課税を排除できないデメリットを補って余りある様々なメリットがある」とは、どこをどう考えても言えません。
長期保有を前提とした場合は二重課税は絶対的に不利で、国内初の先進国株価指数連動型ETFとしては、やや期待外れの商品です。

この税務リスクが大きなネックとなり、外国株価指数に連動する「コスト的にまともなETF」が国内に上場することは期待できそうもないように思えます。

現在、国内では8銘柄の外国株価指数連動型ETFが上場しています(銘柄名の後の数字は信託報酬)。

東証=5銘柄
・KODEX200(韓国)0.35%
・上場パンダ(中国)0.9975%
・ボベスパ連動型(ブラジル)0.9975%
・S&P CNX Nifty連動型(インド)0.9975%
・NYダウ(米国)0.6075%

大証=3銘柄
・上証50連動型(中国)0.9975%
・FTSE/JSE Africa Top40連動型(南アフリカ)0.9975%
・RTS連動型(ロシア)0.9975%

このうち、株式の現物で運用されているのは韓国のKODEX200、ファンド・オブ・ファンズ形式がNYダウと上場パンダの2銘柄で、それ以外の5銘柄はリンク債で運用されるETNです。

NYダウは前述のとおり、分配金の税務リスクを解消するために海外と国内で二重課税されているのが致命的な欠陥です。

上場パンダについて調べてみたのですが、分配金の税務リスクについて言及したものは見つかりませんでした(決算の中身を見てみましたが、マザーファンドはほとんど分配金を出していないようです)。
リンク債で運用しているETNは、そもそも株式で運用していなければ配当金が出ないので、税務リスクは存在しませんが、発行体の信用リスクを負うことになります。
そもそも、これらのETFは信託報酬が年率1%弱で、決して安くありません。

それに対して、KODEX200の信託報酬は年率0.35%です。
ETFの保有コストとしては、「魅力的」と言えるギリギリの水準でしょう(投資先が韓国だけで分散に難があるという問題はありますが)。

株式の現物で運用していれば、当然、KODEX200にも税務リスクがあるのではないかと思うのですが、どういうスキームで東証に上場したのか、気になります。

 東証が作成したKODEX200のパンフレット
 http://www.tse.or.jp/rules/etf/kodex200.pdf

上記には、国内と現地でそれぞれの税金の取り扱いについて記載がありますが、「二重課税」については言及がありません。
そこで、東証のウエブサイトから問い合わせフォームを使って質問をしたところ、

「KODEX200上場指数投資信託」は外国籍のETFであり、日本及び韓国で課税されます。詳細は有価証券報告書(添付ファイル)をご参照ください。

という回答が、メールで届きました。
添付ファイルは、EDINETで公開されている有価証券報告書と同じものでした。

有価証券報告書から、現地での課税に関する部分を抜粋して引用します。

・投資信託に対する課税
投資信託財産に利子および配当所得等が流入される時点で課税される場合、二重課税の結果を招くことになりますが、このような二重課税を防止するための税法上の投資信託財産に関する特例により、毎月各投資信託財産に対して課される税額は翌々月に還付を受けています。

・受益者に対する課税
日韓租税条約および外国税額控除
二重課税の回避および脱税の防止のための日韓租税条約の既定が適用されます。その結果、税率は15%が上限とされるため、日本の居住者である受益者の場合は15%の割合で源泉徴収されることとなります。
この源泉徴収については、日本国において外国税額控除の適用を受けることができる場合があります。

「投資信託に対する課税」の部分では、還付を受けることでETF内部での配当への二重課税は行われていないことが理解できます。
「受益者に対する課税」には、税率15%で外国税を源泉徴収していると記載があります。
これは「海外ETF」と同じスキームです(米国ETFでは税率10%で外国税が源泉徴収される)。

たとえば、税金の源泉徴収前で1万円の分配金が出たとします。
KODEX200の場合、現地で15%が源泉徴収されて8,500円になり、さらに国内で10%(本則は20%)の850円が引かれて、7,650円が投資家に支払われることになります。
確定申告で外国税額控除を申請すれば、外国税の1,500円は一部を取り戻すことができます。

このKODEX200のスキームであれば、NYダウの記事で指摘があったような税務リスクは回避が可能でしょう。
つまり、VTやTOK、VWOなどを、そのまま外国籍のETFとして東証へ上場させればよい、ということです。

ただしこの場合、重複上場のためのコストは運用会社が負担することになります。
金融庁へ届け出る膨大な書類を日本語で作成する事務的なコストだけでも相当なものでしょうから、運用会社にとっては負担が大きいと思います。
手続きの簡素化や英語書類を認めるなど、関係当局が規制緩和をすれば、可能性は広がるかもしれません。
そうすれば、投資家にとって望ましい方向で国内のETF市場が拡大していくのではないかと思います。
しかし、投資家が証券会社や運用会社へ要望を出せばなんとかなるという程度の「ハードル」ではないでしょう。
その可能性は、残念ながら現状ではほとんど期待できないでしょう。
関連記事

2009/12/20 09:00 | ETF・インデックスファンドCOMMENT(2)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

様々な運用手法の活用と仕組みを工夫 って何?

日興アセットのコラムによると税制に対して何らかの策を打っているようです。
具体的に何をしているのかは不明ですが。

税制の問題が残りました。ETFは非上場の投信信託と違っ て、市場取引を通じて誰(非居住者)でも保有できるところから、この取扱いが難しいところでした。今回の先進国及び新興国のグローバル株式のETFだけで なく、グローバル外債ETF(上場外債)も同じ問題を持っているのですが、様々な運用手法の活用と仕組みを工夫することによって問題解決にあたりました。

http://www.nikkoam.com/products/etf/column/column01-100106

No:249 2010/01/23 20:15 | ヨシムラ #/LCIGyFA URL [ 編集 ]

Re: 様々な運用手法の活用と仕組みを工夫 って何?

> ヨシムラ様

コメントありがとうございます。
引用された文章の前半部分が指摘している「税制の問題」は、「非居住者が受け取る分配金」についてだと思います。
米国の税務当局から「米国民がこのETFへ投資すると配当への租税を逃れることができる」と追及される税務リスクを回避する必要がある、ということでしょう。

これは私の憶測ですが、
 「運用手法の活用」=先物の比率を高めた
 「仕組みを工夫」=米国株の配当は現地で税率30%を源泉徴収
この2つの手法で問題解決にあたった、という理解は成り立ちませんでしょうか。

No:250 2010/01/23 21:03 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

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2010/01/09 | 乙川乙彦の投資日記 |

国内に上場する ETF の二重課税問題

中田たろう氏のブログで、日興AMの外国株式ETFは配当金が二重課税されるという問題点の指摘がありました。 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-578.html この記事に関しては、いくつかの関連記事も書かれています。 http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog...

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