シティグループ世界国債インデックス連動の国内ETFは要注意? 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
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シティグループ世界国債インデックス連動の国内ETFは要注意?

こんにちは。中田たろうです。

8日の海外金市場は、ロンドンの現物、NYの先物、ともに1,000ドルの大台を超えました。
ロンドン市場での1,000ドル突破は昨年3月以来、NY市場は今年2月以来です。
金価格の上昇は「ドルへの信頼度の低下」と密接に関連しますので、あまり好ましくないように思います。
「年内には1,100ドル超え」を指摘する市場関係者もいるようですが、どこまで金価格が上昇するか、見守りたいと思います。

さて、日興アセットマネジメントと東証から、海外債券指数連動型ETF上場のニュースリリースが発表されています。

【日興アセットマネジメント】
国内ETF初の海外債券指数への連動めざす「上場外債」を設定
~「毎月分配型」のETFとしても国内初~
http://www.nikkoam.com/about/release/data/090908_j.pdf

【東京証券取引所】
9月30日、海外債券指数ETF(国内初の毎月分配型)が上場(日興アセットマネジメント、上場外債)
http://www.tse.or.jp/news/200909/090908_a.html

「信託報酬が年率0.2625%」は魅力的な水準ですが、ニュースリリースに記載された商品内容を読んで、私は「分配金への課税コストは要注意」だと思いました。

このETFは「毎月分配型」ですが、ETFの仕組み上、「債券の利息収入を内部で再投資する」ことができないと思います(オープンエンド型ETFには内部で再投資しているものも存在するようですが)。
したがって、債券の利金は現金のまま内部留保することになるのでしょうが、これを毎月ごとに分配金として吐き出すのは、事務コストの増加以外にはデメリットはあまりないと考えていいのかもしれません。

しかし、それ以上に問題なのは、この債券ETFは「分配金の税コストが非常に不利」になる可能性が高いことです。

日興AMのニュースリリースを見ると、「収益分配」は「信託財産から生ずる配当等収益から諸経費などを控除した全額を、毎決算時に分配することを原則とします」と記載があります。

東証のニュースリリースから「パンフレット」を閲覧すると、シティグループ世界国債インデックス(除く日本)の「平均クーポン」は、4.18%となっています。
これは「保有している債券の表面利率が加重平均で年率4.18%」という意味です。
この債券ETFでは、信託報酬が利息から引かれて、その残りが毎月の分配金になりますので、
 4.18%-0.2625%=3.9175%(年率)
が分配金になることが予想されます。

この分配金に10%が課税されれば、「年率0.39175%が税コストで引かれる」計算になります。
税率が本則の20%とすれば、税コストは年率0.7835%です。

信託報酬と税コストをプラスすれば、

 【税率10%の場合】0.2625%+0.39175%=0.65425%
 【税率20%の場合】0.2625%+0.7835%=1.046%

上記の数値が「実質的な保有コスト(年率)」と考えることができます。
税率10%であれば、既存の外債インデックスファンドよりも保有コストはやや有利ですが、税率20%の場合はかなり不利になります。

なお、上記はあくまでも試算ですので、実際の分配金とその税金がどうなるかはわかりません。

このETFは、債券の利息を分配金で吐き出すので、キャピタルゲインはかなり小さなものか、マイナスになる場合もあると思います。
商品特性から考えれば、「キャピタルゲインを期待して投資する商品ではない」と考えたほうがよいかもしれません。
したがって、将来の売却時の課税コストは、ごく小さなものか、ゼロになるでしょう。

「分配金がほとんどない外債インデックスファンド」の場合は、分配金への課税は小さくなりますが、将来の売却益への課税は大きなものになる可能性があります。

両者の差は「分配金への課税コストの複利効果分」程度かもしれませんが、投資期間が長期になれば、その差は小さくないだろうと思います。

ETFの分配金は、株式・ETF・投資信託の譲渡損失と損益通算が可能です。
このETFの初回の決算は来年2月ですが、来年以降は源泉徴収ありの特定口座内で、確定申告不要の損益通算が可能になります。
「譲渡損失がある場合」は、ETFの税コストをゼロにすることもできますが、「譲渡損失を前提にした節税対策」は、恒久的に使える節税ではありません。

さらに、分配金の税コスト以外にも、気になる点があります。

「シティグループ世界国債インデックス(除く日本)」は、債券の利回り込みで指数化したものになります。
指数は「利回り込み」なのに、利息分を分配金で吐き出すと、インデックスとの連動性が長期的に保てるのかどうか、やや疑問に感じます。
運用会社が発表するレポートなどで、運用状況を定期的にチェックして、指数との連動性を確認したほうがよいでしょう。
(私は債券運用のプロではないですし、この疑問は「直感的」なもので、根拠はないことを申し添えます)

上記の懸念がすべてあてはまるとすれば、「リタイア世代で年金以外の定期的な収入が欲しい」という人以外には、あまりおすすめできないETFかもしれません。
信託報酬の低さに釣られて、飛びつくように投資するのは控えたほうがいいでしょう。

また、ETFは「分配金の再投資をどうするか」という問題もあります。
分配頻度が毎月の場合、再投資の手間やコストも増えることになるので、その点も考慮すべきでしょう。
流動性(出来高)や「基準価額と取引所価格のかい離」も要チェックです。

上記のような商品と税金の仕組みをしっかり理解して、投資判断をすべきだと思います。

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2009/09/09 09:00 | 外国債券COMMENT(2)TRACKBACK(2)  TOP

コメント

こちらの記事を拙ブログにて紹介させていただきました。
素晴らしい考察ですね。参考にしたいと思います。

No:228 2010/01/15 07:59 | ひで #- URL編集 ]

> ひで様

コメントとトラックバックありがとうございます。
私のブログが参考になりましたら幸いです。

No:231 2010/01/15 20:55 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]

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