個人型確定拠出年金の加入を検討
こんにちは。中田たろうです。
以前のエントリでも少し書きましたが、個人型確定拠出年金(401k)について、本格的に考察を始めています。
お恥ずかしい話ですが、「厚生年金」と「企業年金」の違い、確定拠出年金の「個人型」と「企業型」の違いについて、正確に理解していませんでした。
今まで私は「自分は401kを使えない」とばかり思い込んでいましたが、そうではなかったようです。
念のため職場の担当者に確認したところ、結論は「可能」だということでした。
そこで個人型401kでの運用について、自分にどのようなメリットがあるかを調べてみました。
個人型401kの最大のメリットは、節税効果と税金の後払いによる複利効果だと思います。
私の場合の掛金は、最大で月額18,000円、年間216,000円で、この全額を所得税と住民税から控除できます。
所得税の税率が私の場合は10%、住民税10%で、合計20%です。
年金の受取時は雑所得として課税されるので、おそらく所得税5%、住民税10%の合計15%の税率になるでしょう。
(税率は個人によって異なりますので、この数字は「私の場合の試算」ということでご理解ください)
さらに、個人型401kは、運用益は非課税です。
個人型401kの手数料は、管理運用機関によって異なりますが、おおむね年間5,000円くらいです。
そうすると、「税率20%で前払い(運用益は課税)」と「手数料控除後の運用で税率15%の後払い(運用益は非課税)」の違いになります。
運用収益率が50%と10%とマイナス10%の3つの場合で、1年あたりの差を試算してみます。
(「前払い」の場合は、運用益から10%の税金が引かれると仮定します)
【トータルの運用収益率が50%の場合】
「前払いで税率20%」216,000円×0.8×(1.5-0.05)=250,560円
「運用後の後払いで税率15%」(216,000円-5,000円)×1.5×0.85=269,025円
両者の差=269,025円-250,560円=18,465円
毎月一定額を積み立てて年利3.7%の複利で20年運用すれば、収益率は50%になります。
上記は「現実的な数字」と言えるでしょう。
【トータルの運用収益率が10%の場合】
「前払いで税率20%」216,000円×0.8×(1.1-0.01)=188,352円
「運用後の後払いで税率15%」(216,000円-5,000円)×1.1×0.85=197,285円
両者の差=197,285円-188,352円=8,933円
【トータルの運用収益率がマイナス10%の場合】
「前払いで税率20%」216,000円×0.8×0.9=155,520円
「運用後の後払いで税率15%」(216,000円-5,000円)×0.9×0.85=161,415円
両者の差=161,415円-155,520円=5,895円
10%とマイナス10%の例は「悲観的な数字」ですが、それでも1年分でこれだけの差になります。
掛金の上限が引き上げられれば、この差はさらに大きくなるはずです。
ただし厳密に言えば、国民健康保険の所得割の掛け率の分だけ、この差は縮まることになります。
私が住んでいる自治体では掛け率が4.3%ですので、1年あたり500円前後くらいの計算になります。
年金受取時には「公的年金等控除」(65歳以上は公的年金等の収入金額の合計額が330万円未満の場合に年間120万円。65歳未満は130万円未満の場合で70万円)が適用されるので、実際はもっと差が広がります。
控除を最大限に活用する戦略として、「リタイア後は401kを先に受け取り、老齢基礎年金は66歳以降に繰下げ支給して増額させる」ということも可能だと思われます。
さらに私の場合、個人型401kの掛金が控除されることのメリットがもう一つあります。
給与所得だけで考えれば、在職中は所得税の税率が10%のままだろうと予想していますが、海外ETFの分配金の外国税額控除を申告すると、10年後くらいには課税所得が330万円を超えて税率がアップする可能性が出てきます。
実はこのことが、将来のちょっとした「悩みのタネ」で、もしもそうなれば「外国税額控除をすべて申告しないで調整するしかない」と思っていました。
しかし個人型401kの掛金が控除されれば、それを回避することが可能になります。
「運用益は非課税」というメリットを生かす運用として、「401k以外の資産も含むアセットアロケーションをリバランスする際に、401kのファンドで乗り換えを実行する」という戦略が考えられます。
たとえば外国株式が高騰して資産比率が高くなったときに、401kの外国株式ファンドを国内債券ファンドへ乗り換えても、外国株式ファンドの運用益に課税されることはありません。
「リバランスを401kの資産で行う」ことは、売却益の節税効果が大きいです。
とくにリタイア後は「積み立て分で資産配分を調整する」ことができなくなるので、貴重なメリットになります。
ただし401kは、「損失の繰り越し申告」もできません。
あくまでも「利益が出ている場合」に限られるでしょう。
一方で、懸念が2つあります。
1つは凍結中の「特別法人税」です。
この問題はどうなるかわからないので、今ここで考えても仕方がないと思っています。
もう1つは、金融機関の合併です。
私は日本の現状が、「オーバーバンキング」=銀行の数が多すぎて将来的には淘汰される、と思っています。
個人型401kの運用管理機関を簡単に下調べをした中では、鹿児島銀行がよさげですが、地方銀行の場合、10年先、20年先は「不透明」な感じがしています。
(「鹿児島銀行の経営は危ない」ということでははないので、誤解のないようにお願いします)
銀行が統合されて、個人型401kの運用商品も「整理」されるような事態が起こらないか、気がかりです。
しかしこの点も、「そのときに判断するしかない」ようにも思います。
今後、管理運用機関の選定と、どのような運用をすればいいかを考察していきます。
資料を請求して自分でいろいろ調べて、慎重に結論を出したいと思います。
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2009/03/27 09:00 | 個人型確定拠出年金(個人型DC・IDeCo) | COMMENT(5) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
このブログ、コメント欄で突いたのがキッカケになりましたか(↓)?
http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-395.html#comment
鹿児島銀行はWerder Bremenのスクープです!ゴホゴホ(笑)。Rennyさん、ナンピンマンさんに「良いネタ、あるで~」とつっ突いて記事にさせましたから(笑)。大体、どこの金融機関が個人型DCでどんなインデックスファンド持っているか不明なことが多く、専門家のFPですら知らないことが多いです。たろうさんのようにNET検索かけて、Rennyさん、ナンピンマンさんのブログに辿り着き東京の人でも鹿児島銀行個人型DCに加入しましたという人もいるみたいです。
ところで「特別法人税」の激論が交わされています。参考まで(↓)。
http://kaeru.orio.jp/blog/2009/03/401k_1.html#comments
No:62 2009/03/27 18:24 | Werder Bremen #- URL [ 編集 ]
2、3気付いたことを。たろうさんは、年金として受給されることをお考えのようですが、”退職金”として一括受取もできます。非課税枠の計算式(↓)。これを使うと殆どの場合、”無税”になるのでは?
http://ad401k.sbisec.co.jp/03_03.html
それと、この枠に納まりきれない場合、例えば、退職金として500万円、年金として200万円(10年間)と分けて受給できるようです。さらに掛金の拠出は60歳までですが、運用は希望すれば70歳まで続けるとかできるようです。つまり投信を使用し続けることができる。それと国民年金基金のHPに以下の文言があります。
http://www.npfa.or.jp/401K/system/jyukyu.html
>老齢給付金…60歳以降に加入者が請求を行い受給します。
>(70歳までに支給の請求をしなければなりません)
社労士、独立系FP、税理士または金融機関個人型401K取扱いのフリーダイヤルに相談してみてください。フリーダイヤルなら気軽にタダで質問できます。
No:63 2009/03/27 22:40 | Werder Bremen #- URL [ 編集 ]
「401kといえばWerder Bremenさん」
コメントお待ちしていました(笑)
Werder Bremenさんをはじめ、先人のおかげで有益な情報を得ることができ感謝しています。
私も負けじと「スクープ」ができないかと、都市銀行、地方銀行、証券会社、生保など、自力で幅広くチェックをしているところですが、鹿児島銀行以上に条件のよい会社は、残念ながら今のところ見当たりません。
「今春開始予定」と発表されているSBI証券の「株式の個別銘柄」で、もしも海外ETFが使えるようになれば、これが「最強」だと思いますが(外貨MMFで運用できる会社もあるので、理屈上は可能だと思っています)、それは「期待しすぎ」でしょうね。
「退職金」での一括受給も検討をしましたが、アセットアロケーションを大きく変えてしまうことになるのを私は心配します。
受給後にその資金をどう運用するかという問題もありますし、マーケット次第では「機会損失によるリターンの減少」も考えられます。
よほど「特殊な状況」でなければ、一括受給はしないだろうと思います。
「70歳まで運用」も、手数料が月額400円とすれば1年間で4,800円、10年間で48,000円を失う計算になります。
実質的には「60歳以降は信託報酬が年率0.5%くらい増える」ことになるので、「あまりメリットはない」と考えています。
今回の「続編」は、4月上旬にはアップしたいと思っています。
No:64 2009/03/28 13:12 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
>「401kといえばWerder Bremenさん」
塩爺非課税枠、ゼロクーポン債非課税枠、そして第3の非課税枠401K。非課税枠はなんでも使い倒そうとしているくらいだから、正しくは”合法的脱税男”と呼んで貰いたいもんだな~、ゴホゴホ(汗)。まあ、特別法人税は紹介したURL、コメント欄に書いたように小生は考えている。あとは”神のみぞ知る”だはな。
ここ暫く下記のブログに個人型401Kネタで小生、出没する予定。ブログ主のカエルさん。実際、お互い大阪近郊在住で会ったこともあり、メールとかでも個人型401Kでアドバイスもしている。とうご期待(↓)。
http://kaeru.orio.jp/index-1.html
No:66 2009/03/28 15:40 | Werder Bremen #- URL [ 編集 ]
> Werder Bremen(合法的脱税男)様
かえるさんのブログ、コメントも含めてもちろんチェック済です。
このエントリを書く前に、「Werder Bremen 401k」でウエブ検索をしました(笑)
個人型401kのウエブでの情報は限られているので、参考にさせていただいています。
No:67 2009/03/28 17:42 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
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