ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第5回】 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング

ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第5回】

こんにちは。中田たろうです。

下のグラフは、米国10年債利回り(青)、S&P500(赤)、NYダウ(緑)の3か月間のチャートです。
三者の相関係数は高く、通常は同じような動きをするときが多いのですが、今年1月後半以降、米国10年債利回りは「異質」な動きになっています。

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「利回りの上昇=債券価格の下落」になり、「株安、債券安」は「ドル暴落」を引き起こすリスクを高めます。
個人的には、どんなに米国経済が悪化しても「米国の一人負け」はありえず、「ドル暴落」のリスクは低いと思っていますが、今後どうなるかちょっと気になっています。

さて、今回は、全6回の不定期連載の第5回で、連載のタイトルである「ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察」の、コアになる部分です。

 【第1回】2009/2/10 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-403.html
 【第2回】2009/2/14 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-405.html
 【第3回】2009/2/19 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-408.html
 【第4回】2009/2/24 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-411.html

上記の過去4回を順番にご覧いただいてから、今回のエントリをお読みいただけると、内容の理解も深まると思います。
今回は第3回のデータをもとに、さらに考察をすすめていきます。

11.短期・中期・長期の債券ETFを組み合わせた合成リターンとリスク

第3回で使用したデータをもとに、短期(SHY)・中期(IEF)・長期(TLT)を組み合わせた合成リターンとリスク、さらに米国株ETFのVTIと1:1の割合で保有したときの数値を算出しました。

(表10)債券ETFとVTIの合成リターン
 短期:中期:長期
の債券ETF合成リターン
VTIと債券ETFを1:1で
保有した場合のリターン
債券ETF
保有比率
0:0:100
初期
0:60:40
中間期
40:35:25
後期
0:0:100
初期
0:60:40
中間期
40:35:25
後期
2003年
1.65%1.75%1.91%15.66%15.71%15.80%
2004年8.55%6.65%3.80%10.16%9.22%7.79%
2005年8.45%6.50%3.57%6.76%5.78%4.32%
2006年0.66%1.42%2.55%7.64%8.02%8.59%
2007年9.88%9.46%8.82%7.17%6.95%6.63%
2008年32.71%26.36%16.84%-2.06%-5.24%-10.00%
加重平均5.42%5.47%4.63%7.56%6.74%5.52%
標準偏差11.64%9.20%5.73%5.76%6.23%7.79%
 高 → リターン → 低
高 → リスク → 低
高 → リターン → 低
低 → リスク → 高

「短期:中期:長期=0:0:100」はゼロクーポン債で運用した場合の「初期」段階、「短期:中期:長期=0:60:40」は運用の「中間期」段階、「短期:中期:長期=40:35:25」は運用の「後期」段階の債券ポートフォリオをイメージしたものです。
ゼロクーポン債は、残存期間が短くなるにつれて評価額が増えていきますので、時間の経過とともにおおむねこのような比率になると思います。

表の左側の「債券ETF合成リターン」を見ると、「初期」と「中間期」のリターンがやや高くなっていますが、リスク(標準偏差)が「後期」の2倍くらいになっています。
「初期」と「中間期」の債券ポートフォリオは「ややハイリスク・ハイリターン」だと言えるでしょう。

しかし、右側の「VTIと債券ETFを1:1で保有した場合」の数値を見るとどうでしょうか。
リターンとリスクがきれいな逆相関になっています。
初期が最も「ハイリターン・ローリスクの理想的なポートフォリオ」という結果になっています。


12.「中間期」でVTIとの保有比率を変えた場合の合成リターンとリスク

第4回の調査で、「残存期間が5年以上の銘柄は、売買のスプレッドが大きいので中途売却は不利になる」ということが明らかになりました。
リスクとリターンだけを意識して、債権ポートフォリオのリバランスをこまめに実行して「長期100%の債券ポートフォリオ」を維持するのは、コスト的にあまり得策ではないでしょう。
現実的には、「短期:中期:長期=0:60:40」の比率の債券ポートフォリオを維持していくのが合理的だと思われます。

「短期:中期:長期=0:60:40」の債券ポートフォリオとVTIとの保有比率を、1:1から少し変えてみて、リターンとリスクがどう変わるかも算出しました。

(表11)「短期:中期:長期=0:60:40」の債券ポートフォリオとVTIの合成リターン
 (A)
IEF60%

TLT40%
(B)
米国株
VTI
A:B
50:50
A:B
40:60
A:B
30:70
2003年1.75%29.68%15.71%18.51%21.30%
2004年6.65%11.78%9.22%9.73%10.24%
2005年6.50%5.07%5.78%5.64%5.50%
2006年1.42%14.63%8.02%9.34%10.66%
2007年9.46%4.45%6.95%6.45%5.95%
2008年26.36%-36.84%-5.24%-11.56%-17.88%
加重平均5.47%2.62%6.74%6.35%5.96%
標準偏差9.20%22.35%6.82%9.89%12.99%

「株式比率を高めるごとにリターンが減少」という意外な結果になっていますが、これはやはり「2008年の数値」が大きく影響していると思われます。
2008年を除いて算出すれば、「株式比率を高めるごとにリターンが増加」になるはずです。
しかしリスクは、2008年を除いても、上の表のとおり「株式比率を高めるごとにリスクも増加」になるでしょう。

この表を見て単純に、「それならば、米国株と米ドルゼロクーポン債を1:1の比率で保有しよう」とは考えないでください。
外国株式インデックスの「MSCIコクサイ」では米国の占める比率が約50%、それに対して外国債券インデックスの「シティグループ世界国債インデックス(除く日本)」では米国が約30%になっています。
仮に「外国株式:外国債券=1:1」のポートフォリオで、インデックスの比率通りに投資するならば、「米国株式:米国債券=6割強:3割弱」という比率になります。

したがって、オーソドックスな資産配分で投資する場合には、リターンとリスクは「A:B=30:70」に近い数字になると思われます。

ちなみに、第3回のデータで、「AGG:VTI=1:1」の標準偏差が9.67%でしたが、(表11)のA:B=40:60の標準偏差9.89%と近い数字になっています。


13.債券ポートフォリオの変化とリバランス

運用が長期になれば、それに合わせて債券ポートフォリオも変化していきます。
初期は「長期債券中心の債券ポートフォリオ」だったものが、5年、10年と経過していけば、徐々に「中期と長期が混在した債券ポートフォリオ」へなっていきます。
ゼロクーポン債の場合、残存期間が短くなるにつれて評価額が増えていきますので、毎年同じ金額を積み立て投資した場合、ピラミッド型のような債券ポートフォリオになります。

bond.gif

運用開始から10年くらい経過すれば、上図のように債券ポートフォリオのリバランスを定期的に実行するのが得策だと思います。

ここまででほぼ結論が出たように思いますが、最終回ではこの考察のタイトルである「ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランス」を、どういうときにどのように実行すればいいかを具体的に記します。
最終回のアップは、1週間後を予定しています。

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2009/03/06 09:00 | 外国債券COMMENT(1)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

SPXL & TMF strategies

2018年のゴールデンウィークにこの記事に出会いました。
2017年末に可変レバレッジドポートフォリオというのが話題になりました。
9年前に米国株と長期債の組合せで良好なリターンが得られることを考察されていたことに驚いています。
TMFはこの記事が書かれていた頃に生まれたようですね。私はこの頃はリーマンショックにおののいていて、投資のとの字もなかったのでこの時代の空気感はわかっていませんでした。

No:733 2018/04/30 21:36 | うろじろう #ogz9v/Dw URL編集 ]

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