ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第3回】 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
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ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第3回】

こんにちは。中田たろうです。

月曜日に来日したクリントン国務長官は、「米国債のセールス」が目的だったと思っていたのですが、そういうニュースはほとんど報じられていません。
米国政府が大規模な経済対策や金融対策を実行するには国債の増発が必要で、その買い手として日本を頼りにしているでしょう。
「セールス」とは言っても、まずは日米関係の強化が大事で、それを意識したスケジュールが組まれていたように思います。

さて、今回は全6回(予定)の不定期連載の第3回のエントリになります。

 【第1回】2009/2/10 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-403.html
 【第2回】2009/2/14 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-405.html

前回は、「残存期間が短期~中期~長期の債券のそれぞれのリターンとリスクと、債券インデックスのリターンとリスクを比較して、検討する必要がある」、というところで終えましたので、早速その続きから始めます。

6.債券ETFの年率リターン

外国債券のリターンについて、私はデータを持っていませんので、米国の債券ETFから年率リターンを調べてみました。
調査したのは、下記の4銘柄です。

 SHY=iシェアーズ・バークレイズ米国国債1-3年ファンド(02年7月~)
 IEF=iシェアーズ・バークレイズ米国国債7-10年ファンド(02年7月~)
 TLT=iシェアーズ・バークレイズ米国国債20年超ファンド(02年7月~)
 AGG=iシェアーズ・バークレイズ米国総合ファンド(03年9月~)

債券ETFだけでなく、米国株ETFと日本の外債インデックスファンドの年率リターンも調べました。
米国株ETFは、「VTI」(バンガード・トータル・ストック・マーケット)、外債インデックスは「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジあり)」をチョイスしました。
外債インデックスは「ヘッジなし」だと為替の影響が大きいので、あえて「ヘッジあり」の銘柄にしました。

なお、米国債券投資においては、残存期間の長短によって、短期債(BILL。1年以内)、中期債(NOTE。1年~10年)、長期債(BOND。10年超)に区分されますが、この連載の中ではSHY=短期、IEF=中期、TLT=長期として言葉を使用しますので、あらかじめお断りしておきます。

 (表4)年率リターンと標準偏差の比較
 短 期
SHY
中 期
IEF
長 期
TLT
総 合
AGG
米国株
VTI
年金積立
2003年1.82%2.21%1.65%29.68%0.48%
2004年0.61%4.06%8.55%3.69%11.78%2.72%
2005年1.39%2.58%8.45%2.15%5.07%1.39%
2006年3.81%2.47%0.66%3.78%14.63%-3.50%
2007年7.13%9.99%9.88%6.36%4.45%-1.35%
2008年6.45%17.38%32.71%7.65%-36.84%6.44%
平均 ※2.54%4.64%5.42%4.29%2.62%0.98%
標準偏差2.74%6.11%11.64%2.23%22.35%3.43%
 ※ 平均は複利利回り(年率)

上記のリターンは、「前年12月末と当年12月末の価格差に1年間の分配金(税引き前)をプラス」して計算しました。
米国ETFの5銘柄は米ドル建てのリターン、「年金積立」は円建てでのリターンです。
債券ETFの運用期間が6年前後でちょっと短く、かつ2008年が「例外」と言ってもいいようなデータになっていますが、大まかな傾向はわかると思います。

債券ETFの利回りは、長期>中期>総合>短期の順に利回りが高くなっていますが、総合=米国債券のインデックス=の安定した利回りとリスクの低さは魅力的に見えます。
「債券投資ではアクティブ運用に優位性はない」と言われていますが、このデータを見れば、納得できるところです。

「年金積立(ヘッジあり)」は、意外とリターンが小さいです。
為替ヘッジや信託報酬などのコストが債券ETFよりも高いことの影響が大きいのでしょう。
データとしてはあまり参考にならないように思います。
(このリターンだけを見ると、山崎元氏が「個人の資産運用で外国債券を組み入れるメリットは乏しい」と指摘しているのもわかるような気がしますが…)


7.債券ETFと米国株の相関係数

さらに、米国株との相関係数も計算しました。

 (表5)米国株(VTI)との相関係数
 SHYIEFTLTAGGVTI年金積立
VTI-0.5987-0.9064-0.9658-0.74361-0.7072

相関係数も利回りと同じ、長期<中期<総合<短期の順番で逆相関になっています。

アセットクラスごとの相関係数について知識をお持ちの方は、
「あれ? 外国株式と外国債券の相関係数は正の値で、0.6くらいだったぞ?」
という疑問を持たれると思います。

書籍などで紹介されている数値は、「円建てでの資産額の変化」の相関係数で、上記のデータは「米ドル建てでの年率リターン」の相関係数ですので、誤解のないようにお願いします。

IEFとTLTは、VTIとの相関係数がマイナス0.9台の数値で、「ほぼ正反対の動きをする」ということが言えます。
私は以前から直感的に、「インデックスファンドよりも長期ゼロクーポン債の方が株式クラスとの相関係数は小さい」と思っていましたが、ほぼ間違いのないところだろうと思います。
総合インデックスのAGGはマイナス0.7台ですので、やや相関係数が高くなります。
およそコンマ2の差は、決して小さいとは言えないでしょう。


8.米国債:米国株=1:1のポートフォリオ

(表4)から、AGGとVTI、およびTLTとVTIを1:1の割合で保有したときの年率リターンと、その標準偏差を算出してみました。

 (表6)米国債と米国株を1:1で保有したときの年率リターンと標準偏差
 AGGとVTITLTとVTI
2004年7.74%10.16%
2005年3.61%6.76%
2006年9.20%7.64%
2007年5.41%7.17%
2008年-14.59%-2.06%
単純平均2.27%5.93%
標準偏差9.67%4.66%

この比較では、「AGGとVTI」より「TLTとVTI」の方が、「リスクは半分以下でリターンは2倍以上」ということがわかります。
つまり、株式との分散効果をねらって債券へ投資するならば、債券インデックスよりも長期債のほうが好ましいということが言えるでしょう。

TLTとVTIの標準偏差は両者とも2ケタですが、「TLTとVTI」の標準偏差は4%台に減りました。
「100年に1度」と言われた2008年の金融危機のときでも、リターンは-2.06%で意外とマイナスが小さいです。
(ただし、2009年は2/14までの年初来リターンがTLT=-13.62%、VTI=-7.76%で、年初からの長期金利の上昇がTLTのリターンに影響しています)


9.リバランス時は短期債券の売却が有利?

(表4)と(表5)と(表6)のデータからは、リバランスで債券クラスを売却する必要があるときに、「ポートフォリオ全体のリスクを抑えて、かつリターンを高く保つ」には、残存期間が短期のゼロクーポン債を売却したほうがよい、という仮説が言えるように思います。

ここでさらに考察する必要があるのは、ゼロクーポン債の購入単価と売却単価のスプレッドです。
「スプレッドは長期よりも短期のほうが小さい」という傾向がありますが、実際のデータで検証してみます。
続きは次回までお待ちください。
次回の連載のアップは、2/24を予定しています。

なお上記は、「たったの6年間だけのデータ」で、正確さに欠けていますし、ましてや「未来を保証する」ものではありません。
「投資判断は自己責任」ですので、よろしくお願いします。
それから、この考察は米国債と米国株の関係を中心にすすめていますが、私の投資は決して米国へ偏重せず、債券も株式もインデックスに近い比率での分散投資を基本にしていますので、念のために申し添えます。

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2009/02/19 09:00 | 外国債券COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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