ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第2回】 中田たろうの投資日記 ブログパーツ アクセスランキング
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ゼロクーポン債と外債インデックスファンドとリバランスの考察【第2回】

こんにちは。中田たろうです。

今回のエントリは、全6回(予定)の不定期連載で、下記の続編になります。

 【第1回】2009/2/10 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-403.html

昨日、この連載記事をまとめるのに必要な情報を得るため、大和証券の支店へ行ってきました。
今まで取り引きや手続きは、ネットと電話と郵便で行っていたので、証券会社の窓口へ行くのは初めてです。
店内はお金をかけた内装で、接客用のブースが6つ、それとは別に小会議室のような接客用の小部屋が3つあり、10人くらいの社員が客から見えるところで働いていました。
人件費を含めた店舗の運用コストは、客のサイフから間接的に支払われているわけですが、ちなみに店内にいたお客は、ほとんどがリタイア世代の方々でした。

「野村で口座を持っているが、大和でも口座開設を検討している」と伝えて、ゼロクーポン債の他社からの移管、外国証券口座管理料などを質問したのですが、当日の単価と利回りの表を見せてもらったときに、興味深い数字を見つけました。
対応した係員がパソコンでプリントした一覧表には「社内限」と印字されていて、銘柄ごとの償還日、売却単価、購入単価、利回りが記載されていたのですが、それらの数字の横に「営業員実績」という数字がありました。

残存期間が短い銘柄は0.25%、長い銘柄は0.90%となっているのですが、おそらく営業マンのマージンを示す数字なのでしょう。
たとえば1,000米ドルの債券を購入すると、担当の営業マンに0.9%で9米ドル=約810円のマージンが入ってくる、ということでしょうか。

債券をネットで購入しても単価は同じで、当然このマージンを上乗せされた価格を支払う必要があります。
ネット専業支店の「野村ほっとダイレクト」は外国証券口座管理料が無料で(対面口座は有料)、ここでコストを差別化しているのですが、大和証券にはそのようなサービスはありません。
「ネットで売れば、営業マンへのマージンの分も会社がもうかる仕組みになっている」ということです。

さて、第1回は「まえがき」的な内容でしたので、今回が「本編」の第1章という感じになります。
「アセットアロケーションのリバランス時のコストを考慮するとゼロクーポン債は不利だが、外債インデックスファンドは長期保有時に不利になる。ゼロクーポン債と外債インデックスファンドを組み合わせて長期投資すれば、両者のデメリットを相殺した『立ち回り』も可能ではないか」ということを考察してみます。

1.20年投資した場合のリターンを比較

ゼロクーポン債の利回りは年率4.0%、為替手数料は1米ドル0.50円(片道)という前提条件で、残存20年の銘柄を償還まで保有したときのリターンの計算してみました。
外債インデックスファンドは、売買の手数料、信託財産留保額は0円、信託報酬は年率0.6%、リターンは年率4.0%で固定、という条件にしました。

 (表1)年率4%で20年保有したときのリターン
 外債インデックスファンド米ドルゼロクーポン債
(購入時、償還時ともに
1米ドル=100円)
米ドルゼロクーポン債
(購入時1米ドル=110円、
償還時1米ドル=90円)
初期投資100,000円100,500円
(1,000米ドル)
110,500円
(1,000米ドル)
年率リターン利回り-信託報酬=
4.0%-0.6%
=実質3.4%
利回り4.0%利回り4.0%
20年後の
売却(償還)時
195,169円219,112米ドル
=2,191.12×99.5円
=218,016円
219,112米ドル
=2,191.12×89.5円
=196,105円
税額<10%の場合>9,516円
<20%の場合>19,033円
0円0円
差益<税率10%>85,653円
<税率20%>76,136円
117,516円85,605円
リターン<税率10%>
85.7%(年率3.14%)
<税率20%>
76.1%(年率2.87%)
116.9%
(年率3.95%)
77.5%
(年率2.91%)

両者を比較すると、ゼロクーポン債の「保有コストと課税コストが0円」がメリットとしてとても大きいのがよくわかります(ゼロクーポン債の税金は各自でご確認ください)。
短期の売買の場合は為替コストが不利になりますが、長期の場合は「希釈化」されます。

なお、参考として「ゼロクーポン債で為替に不利があった場合のリターン」も計算してみました(表の右側)。
この場合は、外債インデックスファンドのリターンも下がりますので、優位性は変わらないはずです。


2.購入3年後にリバランスで売却する場合のリターン

次に、「残存20年の銘柄を購入3年後にリバランスを実行するために中途売却」をする場合のリターンも比較してみます。
「外債の保有比率が高くなり、リバランスが必要になる」ということは、債券価格が上昇しているということになります。
これは次回の調査結果に出てくるのですが、「債券価格の上昇時には、外債インデックスよりも残存期間が長期の債券のほうが上昇率が高い」という傾向がありますので、仮定の条件として「ゼロクーポン債の価格上昇が外債インデックスファンドを7%上回る」を想定してみました。
さらに、ゼロクーポン債は「売買のスプレッドで5%の損失」も考慮しました。

 (表2)年率4%で3年後に売却したときのリターン
 外債インデックスファンド米ドルゼロクーポン債
(購入時、売却時ともに
1米ドル=100円)
米ドルゼロクーポン債
(購入時1米ドル=110円、
売却時1米ドル=90円)
初期投資100,000円100,500円
(1,000米ドル)
110,500円
(1,000米ドル)
年率リターン利回り-信託報酬
=4.0%-0.6%
=実質3.4%
利回り4.0%利回り4.0%
売却時の単価価格上昇-スプレッド
=7.0%-5.0%
=2.0%アップ
価格上昇-スプレッド
=7.0%-5.0%
=2.0%アップ
3年後の
売却時
110,551円1,147.35米ドル
=1,147.35×99.5円
=114,161円
1,147.35米ドル
=1,147.35×89.5円
=102,688円
税額<10%の場合>1,055円
<20%の場合>2,110円
0円0円
差益<税率10%>9,496円
<税率20%>8,441円
13,661円-7,812円
リターン<税率10%>
9.5%(年率3.07%)
<税率20%>
8.4%(年率2.74%)
13.6%
(年率4.34%)
-7.1%
(年率-2.41%)

3年で中途売却の場合でも、やはりゼロクーポン債が有利になるでしょう。

ただし、これは「外債インデックスの利回りが毎年4%で固定」されている場合の試算ですので、実際はこの通りになることはありません。
外債インデックスはユーロと米ドルを中心に複数の通貨・残存期間の銘柄に分散して運用されますので、米ドルゼロクーポン債の方が「リスク=リターンのぶれ幅=が大きい」ということが言えます。
ゼロクーポン債のリターンが外債インデックスを下回る場合もあるでしょうが、事前にそれを予測することは不可能です。

ゼロクーポン債を中途売却した場合に、外債インデックスと比べて不利になるこかどうかは、売買時の債券価格や為替によるので、「そのとき次第」としか言えないでしょう。


3.株式や投資信託との損益通算

リバランスを実行するときには、「売却差損が生じるとき」のことも考慮する必要があります。

昨年末は外国債券の利回りが急低下して、債券価格は急上昇しました。
そして同時に、円高もすすみました。
上記の「3年で中途売却。購入時1米ドル=110円、売却時1米ドル=90円」の例のように、売却差損が生じる可能性も大いに考えられます。

ゼロクーポン債は株式や投資信託との損益通算ができませんが、外債インデックスファンドならば、損益通算ができます。
09年からは株式や投資信託の配当金(分配金)と譲渡損失の損益通算ができるようになりましたので、ETFの分配金と損益通算するなど、売却差損が生じてもリターンへの影響を小さくすることが可能です。

そうすると、リバランスで外債クラスを売却するときに売却差損が生じることを想定して、少しは外債インデックスファンドを保有しておくのが得策かもしれません。
たとえば「ゼロクーポン債:外債インデックスファンド=90:10」の比率で保有すれば、「外債クラス全体での保有コスト」は年率0.1%以下になります。
「損益通算を可能にするためのコスト」と考えれば、許容できる数字だと思います。

なお、「売却差損が生じる」ということは、いわゆる「損切り」をすることになります。
個人投資家のブログを見ていると、「損切り」をためらう人が多いように思いますが、「売却時に自分の買値にこだわること」は、非合理的な投資判断です。
リバランスは、「ポートフォリオのリスクと期待リターンを改善」するために行うものですが、「自分の買値がリスクやリターンに与える影響」は皆無です。
(基準価額が1万円のときに購入した1万口と、5千円のときに購入した1万口、同じファンドであればその後のパフォーマンスは同じです)

リバランスのときに「損切りかどうか」で判断を変えるのは、合理的ではありません。
「目先の損得」を気にするよりも、私はもっと長期的に考えて、「ポートフォリオのリスクとリターンの修正」を重視したいと思っています。


4.「円安、債券が割高のとき」の外国債券投資

「損切りをためらうべきではない」とはいえ、できればしたくないのが「投資家の性」でしょう。
できるだけこれを回避するような立ち回り方、すなわち「円安や債券が割高のときにどうするか」を考察しておきます。

外債インデックスファンドの場合、オーソドックスにはドルコスト法での積み立てになるでしょうし、自分で割安かどうかを判断できる人はまとまった金額を一括投資してもいいでしょう。

ゼロクーポン債投資のリターンを高めるには、「為替が円高のときに外貨MMFを購入して、利回りが高いときに外貨決済でゼロクーポン債を購入」という戦略が効果的です。
(詳しくは2008/2/19のエントリ「セルフメイドの外国債券ファンドの作り方」
 http://nakatatarou.blog110.fc2.com/blog-entry-204.html を参照してください)

私が07年8月と9月に米ドルゼロクーポン債を購入したとき、米ドルは115円~120円、残存期間が16~20年の銘柄は利回りが5%弱でした。
これらの債券の評価額は昨年末に急上昇して、為替が90円割れしていたにもかかわらず、円貨換算しても「プラス」になっていた時期もあります。

「米ドルはおおむね80円~130円の範囲で推移する」と考えれば、5%弱の利回りがあれば、115円~120円でやや円安のときであっても「ゼロクーポン債へ投資する価値はある」と思っています。
(1ドル125円を超えるような極端な円安のときは、判断が難しいですが…)
しかし、利回りが4%以下の場合は、どんなに円高のときでもゼロクーポン債への投資は不利だと思います。

「外国債券クラスの比率を高めたいとき」に「円安で債券の利回りが低いとき」(こういう状況はあまりないと思いますが)は、どうすればいいでしょう。
「利回りが低い=債券価格は割高」ですので、このようなときに債券へ投資するのは妙味がありません。

この場合の投資行動としては、「外債クラスの資産比率が低いままでもかまわないので、円高になるか利回りが上昇するまで、外債への投資資金を預貯金かMRFなどの流動性資産でキープしておく」という戦略がいいと思います。
「円安、債券高」で、いずれ値下がりすることが予想されるアセットクラスに追加投資するのは、リターンを下げるだけです。
「債券比率が低い=ポートフォリオのリスクが高まっている」ということですから、外債へ投資予定の資金を流動性資産でキープしておけば、ポートフォリオのリスクを下げることができます。
自分が決めたアセットアロケーションにこだわりすぎないほうがいいでしょう。

どういう場合にどのような投資行動をとるか、表にまとめると下記のようになります。

 (表3)為替・利回り・外債投資の関係
 債券価格が割高
(利回りは低い)
債券価格が割安
(利回りは高い)
為替が割高
(円安)
流動性資産で投資資金をキープ外貨MMFを購入して、
外貨決済でゼロクーポン債を購入
(※)
為替が割安
(円高)
外貨MMFを購入してホールド外貨MMFを購入して、
外貨決済でゼロクーポン債を購入
(※)
 ※ 「円貨決済でゼロクーポン債を購入」でも可


5.運用期間が長期のときは違う要素も

「2.購入3年後にリバランスで売却する場合」の考察は、「残存期間が長期のゼロクーポン債だけを保有している場合」のものになります。
5年、10年と資産運用していれば銘柄の種類が増え、残存期間も中期~長期のものが混在するようになります。
運用期間が15年以上になれば、償還まで数年しかない銘柄も含まれるようになります。

資産運用を始めて10年くらい経過すれば、最初のころに購入したゼロクーポン債を中途売却しても「損切り」になることはないでしょうから、外債インデックスファンドを保有する必要性は低くなるでしょう。
あるいは、「リバランス時に外債インデックスファンドを売却するよりも、残存期間が短い銘柄を売却した方が、リスクとリターンの改善に有利になる」ことも考えられます。

「ゼロクーポン債と外債インデックスファンドを組み合わせて長期投資すれば、両者のデメリットを相殺した『立ち回り』も可能ではないか」ということを考察するには、「残存期間が短期~中期~長期の債券のそれぞれのリターンとリスク」と「債券インデックスのリターンとリスク」を比較して、検討する必要がありそうです。

この考察は次回以降へ持ち越します。
調べたデータを見ると、「外債インデックス派」の方にも興味深いだろうと思えるものがありました。

なお、この不定期連載は「知識と情報の限られた素人投資家の考察」ですので、考察にちょっと乱暴な部分があったり、大事な要素が抜け落ちていたり、勘違いがあったりするものと思われます。
あるいは、言葉足らずで説明があいまいになっている部分もあるかもしれません。
その点はご容赦いただければ幸いです。
それから言わずもがなですが、「投資判断は自己責任」でお願いします。

次回は2/19にアップする予定です。

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2009/02/14 09:00 | 外国債券COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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