「海外ETFの分配金と譲渡損失の損益通算」と「外国税額控除」
こんにちは。中田たろうです。
今回のエントリは、海外ETFへ投資をされていて、株式等の譲渡損失がある方にしか役に立たないと思われます。
ややマニアックな話題で、確定申告をしたことがある人にしか理解できないと思われますが、興味のある方はお読みください。
2009年分の所得から、株式の配当金やETF・投資信託(公社債投信を除く)の分配金(特別分配金を除く)と株式等の譲渡損失との損益通算が可能になりました。
私は2008年分の確定申告で投資信託の譲渡損失を申告していますので、この繰り越し分と2009年分のETFの分配金を損益通算して、分配金から源泉徴収された国内税の還付を受けることができます。
配当所得との損益通算は、今年が初めての申告になります。
昨日、歯医者での治療が終わった後に時間があったので、その足で近くの税務署へ行き、2009年分の確定申告の相談をしてきました。
相談の重要なポイントは、「海外ETFの分配金と譲渡損失の損益通算」と「外国税額控除」は同時に申請ができるかどうかです。
結論としては、「同時に申告はできるが、損益通算した金額を差し引いた外国所得金額をもとにして外国税額控除の控除額を計算することになる」とのことでした。
事前の予想では、損益通算は申告分離課税、外国税額控除は総合課税、両者は課税方法が異なるので、同時の申告はできないのではないかと思っていたので、やや意外でした。
この結論を得るまでに、税務署で2時間近くかけて、しつこく担当の職員の方に確認を取りましたので、ほぼファイナルアンサーではないかと思っています。
米国ETFの分配金に対する税金を図にすると、下のようになります。
昨年の確定申告では総合課税を選択して、米国ETFの分配金の外国税額控除を申告しました。
【「確定申告書B」の「第一表」に配当所得の金額を記入】
私の場合はそれによって、オレンジの部分から半分弱の還付金を受けることができました。
しかし、譲渡損失との損益通算を行えば、「配当所得-譲渡損失≦0」の場合は、オレンジの全額を取り戻すことができます。
したがって、この場合は申告分離課税を選択して損益通算の申告を行ったほうが還付額が多くなります。
【「確定申告書(分離課税用)」の「第三表」に配当所得の金額を記入し、「第一表」には配当所得は記入しない】
外国税額控除に関する明細書(PDFファイル)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/15.pdf
上記の「外国税額控除に関する明細書」の2ページ目上段にある、「3 控除限度額の計算」の「国外所得総額③」がゼロ円になります。
外国所得税額の全額が「控除限度超過額」になり、翌年以降へ繰り越すことができます。
この場合、外国税額控除の金額も「ゼロ円」になります。
「外国税を必要経費として算入できないか」ということも質問したのですが、結論としては「配当所得の外国税は経費として認めることはできない」とのことでした。
つまり、「損益通算と外国税額控除の同時申告は可能だが、外国税額控除額はゼロ円(ただし外国税額の全額を翌年へ超過額として繰り越し可能)」というのが、「配当所得-譲渡損失≦0」の場合の結論です。
なお、「配当所得-譲渡損失>0」の場合は、その差額を明細書の「国外所得総額③」に書き込みます。
その後の計算は、通常の外国税額控除の申告と同じになります。
それからこれも大事なポイントですが、配当所得は「申告不要制度」を選択して、源泉徴収で課税を完結させることも可能です。
ただし配当所得を確定申告する場合は、申告分離課税と総合課税のどちらを選択するか、統一しなければなりません。
・国内株式、ETF、投信は「申告分離課税」を選択
・海外ETFは「総合課税」を選択
たとえば上記のように、課税方法を使い分けをすることはできませんので、ご注意ください。
所得の状況によっては、申告分離課税ではなく総合課税を選択したほうが還付額が多くなるケースも考えられます。
譲渡損失が少額で、それよりも海外ETFの分配金がかなり高額の場合があてはまると思われます。
なお、税務に関してはお近くの税務署や税理士へご相談ください。
税理士法などの問題もありますので、コメントなどで税務の質問をされても回答をいたしかねます。
エントリの内容は、できるだけコンパクトでわかりやすいように、気をつけたつもりです。
説明を端折った部分もありますので、所得の状況によっては、ここで説明した場合と税務が異なる点があるかもしれませんが、その場合はご容赦ください。
(税務署の職員によって税務の見解が異なる場合もあるようですので、確定申告をされる場合は各自が税務署で再確認されることをおすすめします)
<1/22 23:30追記>
「海外ETFの分配金を申告分離課税で損益通算後に、外国税額控除の申告も可能」ということならば、「合法的な節税」の可能性があることに気づきました。
たとえば、マイナス100円でもいいので毎年譲渡損失を計上するようにします。
申告分離課税でこの譲渡損失と分配金との損益通算を行い、その残額を国外所得として外国税額控除の計算を行います。
そうすると、国外所得部分の税率は所得税7%、住民税3%の合計10%になります。
これに対して、「マイナス100円の損益通算」を行わないで、昨年までのように総合課税から外国税額控除を選択すると、配当所得の部分は10%よりも高い税率で課税されてしまいます。
外国税額控除の額はどちらの場合でもほぼ同じなので、前者はかなり有利になると思うのですが、いかがでしょうか。
とくに、課税所得が330万円を超える方の場合は、圧倒的に有利ではないかと思います。
<1/24 20:00追記>
読者から住民税についてご質問がありました。
重要なポイントなのですが書き忘れていましたので、以下に書き加えます。
1.「配当所得-譲渡損失≦0」で「申告分離課税」を選択して損益通算を行った場合
損益通算によって取り戻すことができる住民税の金額を計算します。
「確定申告書B」の「第一表」で、右側のページで右下の「住民税・事業税に関する事項」で、「住民税」の「配当割額控除額」の欄に、計算した金額を記入します。
これによって住民税の支払額が軽減されますので、ここの記入は重要です。
配当所得の住民税に関する課税は、これで完結するはずです。
2.「配当所得-譲渡損失>0」で「申告分離課税」を選択して損益通算を行い、損益通算できなかった部分を「国外所得」として外国税額控除の計算を行った場合
損益通算で取り戻せる住民税は前項のとおりです。
外国税額控除によって取り戻せる住民税についても、「住民税・事業税に関する事項」にその金額を記入するはずですが、記入する項目が「配当割額控除額」か違う項目か未確認です。
ご存知の方、あるいは税務署で確認された方はコメントで教えていただければ幸いです。
配当所得の住民税に関する課税は、損益通算できなかった部分は税率3%の申告分離課税になるので、原則として追加分は生じないはずです。
3.「総合課税」を選択して外国税額控除を申告した場合
配当所得の住民税に関する課税は、分配金から源泉徴収で3%の住民税が引かれていますので、総合課税(住民税は税率10%)で申告した場合は、7%を余計に支払う計算になるはずです。
「外国税額控除に関する明細書」の2ページ目、「控除限度額」の「計」が、分配金(税込)の7%を下回った場合は、ご心配のとおりに「損」をするケースも考えられます。
所得総額が高額な人、あるいは国外所得が少額な人の場合は、これに当てはまる可能性が高いかもしれません。
(上記は私の理解が間違っている可能性もありますので、ご心配な場合は税理士などへ相談してください)
したがって、前述の「合法的な節税」は、非常に効果的ではないかと思われます。
これは余談ですが、私は昨年、総合課税で申告を行ったのですが、取り戻せる住民税の金額を「住民税・事業税に関する事項」に記入することを知らなくて、何も記入しないで申告してしまいました。
(そのことを知ったのは数か月前でした…)
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2010/01/21 09:00 | 確定申告・外国税額控除 | COMMENT(29) | TRACKBACK(2) TOP
コメント
貴重な情報を掲載頂きありがとございます。
この記事のおかげで確定申告が完璧に行えそうです。
このような質の高い記事は他に見当たりません。本当に助かりました。
No:243 2010/01/21 23:10 | 愛読者 #- URL [ 編集 ]
> 愛読者様
いつもご愛読いただき、今回もコメントありがとうございます。
お役に立てば幸いです。
このエントリにまとめた内容は、私自身が1年前からずっと気になっていた問題で、ようやくすべての疑問が氷解して、すっきりした気持ちでいます。
No:244 2010/01/22 21:15 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
昨年譲渡損失があり、今年外国ETFの分配金があったものです。ちょうど今回の記事の内容にあてはまるケースでとても役にたちました。私からもお礼を申し上げます。
No:245 2010/01/23 02:53 | ぷーさん #- URL [ 編集 ]
> ぷーさん様
コメントありがとうございます。
> 昨年譲渡損失があり、今年外国ETFの分配金があったものです。
この場合は、今年の確定申告で譲渡損失の繰り越しを行い、来年の申告で損益通算を行うことになりますね。
No:247 2010/01/23 15:49 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
この話題については今月の初めごろに梅ランでも話題になりました。
しかし、僕の会社の源泉徴収票が送られてくるのが1月下旬を予定している為、現実的な事はまだ分かりませんでした。
でも、僕の場合も「配当所得-譲渡損失≦0」なので来年に持ち越して外国税額を雪だるま式に大きくして、最終的には-100円を申告分離課税の申告で外国税額を取り戻す作戦をやろうとしています。
更に、国民健康保険との関係も来年6月には分かる予定なので、特に国保の人のコスト削減に有効なのでは?と考えています。
梅ランでは↓
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1276.html
No:251 2010/01/24 14:27 | タカちゃん #X.Av9vec URL [ 編集 ]
とてもわかりやすい情報をありがとうございます。海外ETFが「上場株式等」にあたるのかどうかよくわからなかったのですが、どうやら株式の譲渡損失との損益通算ができるみたいですね。
私も譲渡損失の繰り越しがあるので、海外ETFの分配金と損益通算しようと思います。
外国税額控除の方ですが、私は今まで申告したことがありません。それは、手続きが面倒臭そうということもあるのですが、一点疑問に思うところがあるのです。
外国税額控除を申告することで、当該国外所得が総合課税の対象になり、結果、(所得税は外国税額控除によりいくらか軽減されるとしても)住民税10%が余計に課税されることになってくるような。。。
それとも、外国税額控除を申告しても、当該国外所得は、そもそも課税所得として算入されないのでしょうか。
No:252 2010/01/24 17:01 | のんたん #- URL [ 編集 ]
> タカちゃん様
コメントありがとうございます。
梅ランのコメント欄での議論はチェック済みです。
「海外ETFの外国税額控除」をきちんと理解してコメントされていた方と、「日興AMの外株ETFに外国税額控除は関係ないでしょ?」と誤解されている方の両方がいて、論点がずれていることを誰も指摘しなかったのを、残念に思っていました。
なお、外国税額控除は、(所得税額)×(国外所得総額)÷(所得総額)で控除限度額が決まります。
これを超える外国税は控除されませんので、雪だるま式に大きくしても、所得総額を減らさなければ、その大半は取り戻すことはできないと思います。
医療費や住宅ローンなどで多額の控除を受けるか、リタイアして所得を減らすか、どちらかをお考えでしょうか?
「控除限度超過額」を翌年に繰り越しても、これを翌年以降に活用できるケースは実際は限られていると、私は理解をしています。
No:253 2010/01/24 18:08 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
> のんたん様
住民税のことは書き忘れていました。
重要な指摘をありがとうございます。
後で本文に追記しておきますので、ご確認ください。
No:254 2010/01/24 18:17 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
> タカちゃん様
さきほどのコメントを訂正します。
(所得総額)は控除前の金額でした。
医療費や住宅ローンの控除は無関係ですね。
No:255 2010/01/24 19:15 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
お忙しいところ誠に申し訳ございませんが一つ質問させてください。
確定申告において、申告分離課税で配当金として海外ETF(米国籍ETF)の分配金を記入する際、その金額は米国で10%の税金を源泉徴収される前の金額(外国税込金額)を円換算したものを用いましたか。それとも、米国で10%の税金を源泉徴収されたあとの金額(外国税引後金額)を円換算したもの用いましたか。
外国税額控除との関係で、このあたりが混乱してきました。もしよろしければお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
No:256 2010/01/25 13:14 | 愛読者 #- URL [ 編集 ]
自己レスです。
先ほど質問した件に関して、「源泉徴収される前の金額を円換算したものを用いる」で正しいですね。
大変失礼致しました。
No:257 2010/01/25 13:40 | 愛読者 #- URL [ 編集 ]
たびたび投稿して申し訳ございません。
本記事に関して質問がございます。
>私の場合はそれによって、オレンジの部分から半分弱の還付金を受けることができました。
>しかし、譲渡損失との損益通算を行えば、「配当所得-譲渡損失≦0」の場合は、オレンジの全額を取り戻すことができます。
この記載に関して、「オレンジ」ではなく、「ブルー」ではないでしょうか。
つまり、「外国税額控除」はあくまでも「ブルー」の部分を控除してもらう制度であって、「オレンジ」の部分ついては、確定申告で申告分離課税を選択した場合には、改めて国内での課税として10%の課税で計算しなおすという作業なのだと理解しています。
「配当所得-譲渡損失>0」の場合は、(所得税額)×(国外所得総額)÷(所得総額)で定まる外国税額控除限度額を上限として、その年に外国税額が控除されます。(控除しきれなかった分は翌年に繰越される)
「配当所得-譲渡損失<0」の場合は、外国税額控除限度額がゼロなので、全て翌年に繰越されるということです。
試算してみます。
分配金(外国税込金額)100ドル
分配基準日TTB(申告レート)1ドル=90円
国内支払日TTM(換算レート)1ドル=91円
分配金(外国税込金額)=100ドル=9000円
外国税=100×0.1=10ドル=900円
国内分配金=90ドル=8100円
国内所得税(円)=8100×0.07=567円
国内所得税(ドル)=567÷91=6.23ドル
国内地方税(住民税)(円)=8100×0.03=243円
国内地方税(住民税)(ドル)=243÷91=2.67ドル
国内税(円)=810円
国内税(ドル)=6.23+2.67=8.9ドル
国内税引後分配金=8100-810=7290円
国内税引後分配金=90-8.9=81.1ドル
外国税額控除の対象となる金額=10ドル
本来納めるべき国内税=9000×0.1=900円
本来納めるべき国内税のうち、不足分=900-810=90円
そのうち地方税(住民税)相当分=90×0.3=27円(翌年6月以降の住民税に反映)
確定申告(源泉分離課税)で納めるべき税額=90-27=63円
No:258 2010/01/25 21:15 | 愛読者 #- URL [ 編集 ]
> 中田たろうさま
はじめまして、書き込むのは初めてですが、わたしも愛読者です。
わたしも先日、同じ件を電話で税務署の係の方に質問したのですが、難しさのあまり調べてもらって数時間後の折り返しの電話となったくらいでした。 で、同様の答えをもらいましたので、やはりファイナルアンサーだろうと思います。
ちなみに
>> 2.「配当所得-譲渡損失>0」で「申告分離課税」を選択して損益通算を行い、損益通算できなかった部分を「国外所得」として外国税額控除の計算を行った場合
の
>> 記入する項目が「配当割額控除額」か違う項目か未確認です。
についてですが、国税庁の作成コーナーで手順に従って作成していったところ、結果として「配当割額控除額」に金額が入りましたので、それでいいんじゃないかと思います。
> 愛読者さま
試算が厳密ですごいです!
米国ETFの分配って年に何度もあって、外国税控除に関する明細書の内訳の行数が全然足りませんよね。 それに全部の証券会社によって、レートが書かれていなかったり、円表示だけになってたりしてわかりにくいし、このステップで挫折しそうになりました。
で、税務署の係の方によりますと、証券会社の支払い通知書を提出すれば内訳は合計を一行にまとめちゃっていいですよ、レートも年間の平均とかでいいです(TTBとTTMの区別も言及せず)、とのことで大雑把でびっくりしました。 ほんとうに全国の税務署でそれでOKなのかは謎ですが。
というわけで、愛読者さまのきちんとぶりに敬意を表したいと思うしだいです。
No:259 2010/01/26 18:28 | gianduja #lhCQU4mM URL [ 編集 ]
> 愛読者様
国税庁のウエブサイトの「外国税額控除とは」に、
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1240.htm
「国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができます。これを外国税額控除といいます」
とあります。
「二重課税の調整」が外国税額控除で、その調整は国内税部分で行うと、私は理解しています。
正確な理解は、税務署や税理士にご確認いただくことをおすすめします。
それから、一般的な税務の質問はセーフらしいですが、実務的な質問は税理士法に抵触する恐れがあります。ご注意ください。
> gianduja様
貴重な情報提供ありがとうございます。
二重に確認が取れたことで、ほかの読者の方も安心して申告できますね。
No:261 2010/01/26 20:55 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
私も今日,所轄の税務署(長野県伊那)に電話で損失-配当合算後の外国税額控除について確認しましたが,中田様のコメントと同じ回答でした。詳細な経過報告頂いたおかげで確定申告の資料作りがスムースにいきました。有難うございました。
また,愛読者さんの質問に対する中田様の解釈もこれで良いのではないでしょうか?
昨日,楽天証券さんで日興AMのMSCI国内ETFのオンラインセミナーをやっていましたが,このETFの国外源泉徴収分が外国税額控除できない理由として,現物株式で運用する部分で得られる配当を現地で源泉徴収後に収益配分として支払う際,国内源泉徴収が行われない事を挙げていました(控除する相手がいない)。その代り,現地税務当局が了解すれば,と言う条件付きでしたが,投資家の日本人比率に応じてファンドから現地源泉徴収分の還付請求できるとの事でした(最近のブログでの議論に配慮して専用に資料作成されていたので,詳細はそちらをご覧下さい)。まあ,しばらくは先物主体の運用をすると言っていましたし,還付請求をしてもどの程度OKされるかは分かりませんが。)
No:263 2010/01/27 14:13 | ばんちゃん #VYL8d1yA URL [ 編集 ]
いくつか質問です。
中田様こんにちは。
TOKとTOPIXでETF投資をしているTellyと申します。
確定申告書を書きながら拝見しております。
さて、過去のエントリを含め、外国税額控除に関する実践を
伴った様々な考察、たいへん興味深く拝見しました。
自分もどうにか節税をしようと取り組んでいるところなのですが、
この「外国税控除の繰越」がはたしてどの程度の実効果があるのか
疑問に思えてきました。
最終的に立ちはだかる壁は「控除限度額」で、結局、この額を上げない
ことにはいつまでたっても繰越がたまるばかりで、税控除されないという
理解は正しいでしょうか?
控除限度額が上がる場合は、
(1)国外所得総額 を上げる
(2)所得税額 を上げる
(3)所得総額 を下げる
ことになるかと思います。試算をしてみますと、所得2000万円などの高所得で
高税負担の場合や法人等でそもそも法人税率が高い場合には控除限度額が上がる一方、
税率の低い一般サラリーマンの平均的な所得水準では控除限度額がかなり
小さくなる(支払った外国税額の1割~2割程度?)という気がします。
この「控除限度額」の設定趣旨って何なんでしょうかね?
結局二重課税の解消って実態は微々たるもので「看板だけ」の気がしてなりません。
そういった点で中田様が
>「控除限度超過額」を翌年に繰り越しても、これを翌年以降に活用できる
>ケースは実際は限られていると、私は理解をしています。
とおっしゃっていると考えてよろしいでしょうか?
税額も少ないので、私は今回は「外国税額控除」の申告は見送ろうかと
思っております。
2点気になった点があります。
1点目:
(1)の国外所得 に関してなのですが、これは外国上場株式のキャピタルゲイン
(源泉分離課税)は含みませんよね。これを計上できれば、控除限度額も上がる
のですが。
2点目:
中田様の訂正コメント中、
>(所得総額)は控除前の金額でした。
>医療費や住宅ローンの控除は無関係ですね。
とありましたが、実はこれらの控除、関係ある気がするのですが。
控除が大きいと、所得総額が同額でも所得税額は当然減りますので、「控除限度額」も
小さくなると思います。なので無関係ではない気がしますがいかがでしょうか?
No:266 2010/01/28 19:29 | Telly #mQop/nM. URL [ 編集 ]
コメントの訂正です。
さきほどのコメントに誤りを見つけました。
>外国上場株式のキャピタルゲイン (源泉分離課税)
は
外国上場株式のキャピタルゲイン (申告分離課税)
でしたね。大変失礼いたしました。
No:267 2010/01/28 20:04 | Telly #- URL [ 編集 ]
> ばんちゃん様
コメントありがとうごさいます。お役に立てて幸いです。
確認が取れた税務署が3か所目になりましたね。
楽天証券のセミナー、さきほど再放送を視聴しました。
新しい外株ETFは、リターンや出来高などの実績で判断するのがベターかな、という感想を持ちました。
> Telly様
> 最終的に立ちはだかる壁は「控除限度額」で、
> 結局、この額を上げないことには
> いつまでたっても繰越がたまるばかりで、
> 税控除されないという理解は正しいでしょうか?
ケースバイケースだとは思いますが、普通のサラリーマンの場合、そういうケースがほとんどではないかと思っています。
「翌年以降に活用できるケースは実際は限られている」と指摘したのは、まさしくその趣旨です。
そして1点目の「外国上場株式のキャピタルゲイン」のご指摘について、「国外所得」は下記の(注3)に定義されています。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1240.htm
「株式等に係る譲渡所得等の金額」と記載がありますので、「含む」という解釈は可能かもしれませんが、税務署や税理士への確認が必要だと思います。
2点目は、「所得総額には控除は無関係」とコメントしたつもりだったのですが、やや言葉足らずでしたね。
「控除は所得税額には影響しますが、所得総額には無関係です」と訂正します。
ご指摘ありがとうございます。
No:272 2010/01/28 22:49 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
中田様、早速のお返事恐れ入ります。
申告書をWebで作成しながらあれやこれや考えています。
外国上場株式のキャピタルゲインを「国外所得」とできるとなる私の場合、今年は控除限度額が源泉
徴収済外国税を超えて全額戻る可能性があるんですよねぇ。
ただ問題なのは、今年に限っては株式の譲渡所得(申告分離)が国内株の確定損で大幅赤字で、
国内株の配当と相殺してるんで、今年は外国税分は繰越しかないんですね。
こうしてみると、外国税額控除で外国税分を取り戻すには
・国内外株式でトータル利益があり、国内株の配当について損益通算を利用しない
・外国株式やその他の外国での所得で大きな利益が出て控除限度額が大きい
という2つの条件が整う必要がありそうですね。
今年は繰越をしておき、来年以降、上記2条件が整うように利益を上げたいと思います。
(税務署には外国株キャピタルゲインを入れていいかは確かめて見ます)
ただ株式でちょっとした程度の利益が出た場合は、今度は年末調整後のサラリーマンの
確定申告不要制度の利用(20万円までの所得の課税実質免除)を利用したほうが
いいというあたりもあり、悩ましい限りです。
株式で思い切って数百万円の利益が出ればそんな些細な悩みも消え、喜んで納税
(+小額の控除)もするんですけどね。なかなか投資はうまくはいきませんね。
長々とすみませんでした。
No:274 2010/01/29 00:03 | Telly #- URL [ 編集 ]
はじめまして。
タカちゃんさんのコメントに私もかんでいましたので、こちらで一緒にコメントしたいと思います。
>結論としては、「同時に申告はできるが、損益通算した金額を差し引いた外国所得金額をもとにして外国税額控除の控除額を計算することになる」とのことでした。
地元の税務署に聞いてみましたが同じ回答でした。
>【「確定申告書B」の「第一表」に配当所得の金額を記入】
私の場合はそれによって、オレンジの部分から半分弱の還付金を受けることができました。
ただ、先ほどの損益通算後の残額は、第1表の配当所得の金額に記入して総合課税になるのではないですか?
そうすると
>「海外ETFの分配金を申告分離課税で損益通算後に、外国税額控除の申告も可能」ということならば、「合法的な節税」の可能性があることに気づきました。
これは無理だと思います。
追加された配当所得はすでにある給与所得などの所得に追加されるので、最高税率の部分になりますから、所得税率によっては課税所得が多くなることによって外国税額控除を受けても返って損になるケースもあるかとおもいますけど?
No:276 2010/01/31 16:25 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]
> 奈々パパ様
コメントありがとうございます。
> ただ、先ほどの損益通算後の残額は、第1表の配当所得の金額に記入して総合課税になるのではないですか?
国税庁のウエブサイトで、「上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度」の「1 概要」には、
「申告する上場株式等の配当等については、その全額について、総合課税を選択するか、それとも申告分離課税を選択するかを統一しなければなりません」
と記載があります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm
「申告分離課税を選択して損益通算をした後に残額を総合課税で申告」するのは、「不統一」になると思います。
私は上記の一文を根拠に「合法的な節税」の可能性を見つけましたが、正確なことは税務署や税理士へご確認いただきたいです。
No:279 2010/01/31 20:37 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
さっそくのご返事ありがとうございます。
「不統一」
そうなんですよね。ですから私も、以前、水瀬さんのブログで、タカちゃんさんに同じようにコメントしたんですよね。
ちなみに、
「申告分離課税を選択して損益通算をした後に残額を総合課税で申告」
というのは、私の考えではなく地元の税務署からの回答です。
申告分離課税で損益通算をした配当所得については、通算後はその配当所得はなかったものとして、残額を外国税額控除控除を申告するのなら総合課税の配当所得として収入を記入して外国税額控除を申告してくださいとのことです。言われたとおりにすると、控除申告時の所得税率による所得税+住民税>外国税額控除額だと、外国税額控除を申告すると不利になりますよね?
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm
については、内容をよく見ると、配当控除を前提として書いてあって、外国税額控除は全く考慮していないのではないかと思えるのですが...それで、地元の税務署からはこういった回答になったものと理解しています。
No:281 2010/01/31 21:33 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]
> 奈々パパ様
「『統一しなければなりません』と記載がありますが、不統一でも大丈夫ですか?」
「申告書の第一表と第三表の両方に配当所得を記入することになりますが、本当にそれで正しいですか?」
「第一表に記入する配当所得は総合課税を選択した場合ではないですか? 申告分離課税を選択して損益通算した残額を第一表に記入するのは整合性に欠けませんか?」
と質問をしてみてはいかがでしょうか。
税務署の人が間違える場合もあるので、しつこく確認をされることをおすすめします。
ちなみに、このエントリの内容の大半は、私から何度も質問をして、税務署の人に調べてもらって、明らかになったことがほとんどです。
No:282 2010/01/31 22:59 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
こんにちは
アドバイスを受けて、質問に行ってきました。
回答は後日とのことでしたが。
結局、
外国税額控除を受ける外国株配当は、全額分離課税で申告すれば、損益通算につかわれなかった分については外国税額控除の申告がOK
ということですよね?
それで、おもったのですが、裏技として書かれている100円の譲渡損の件ですが、外国税額控除を受けるのに配当所得を分離課税での申告でいいのなら、わざと譲渡損を出さなくても、外国税額控除を受けるために、外国株配当を全て分離課税で申告して、外国税額控除も申告することができるのではないかと考えたのですが?
いかがでしょうか?
e-taxでも
「配当控除を申告する際は、総合課税を
損益通算をする際は分離課税を選択するように」とは書いていますが、
外国税額控除を申告する際はどちらという指定はないですよね?
以前は、外国税額控除の際に申告分離課税という選択肢はなかったので自動的に総合課税を選択するようになっていましたが、現在は、外国税額控除だけをするのにも、分離課税を選択してもいいのではないかと思えてきました。
No:284 2010/02/03 15:37 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]
> 奈々パパ様
> わざと譲渡損を出さなくても、外国税額控除を受けるために、
> 外国株配当を全て分離課税で申告して、外国税額控除も申告
> することができるのではないかと考えたのですが?
上記の件、税務署で確認してきましたが、結論は「OK」です。
念のために、国税庁のウエブサイトで「確定申告書等作成コーナー」を使って、「申告分離課税で外国税額控除」を入力しましたが「成功」しました。
もちろん「マイナス100円の譲渡損失」は不要です。
もしかしたら例外的なケースはあるかもしれませんが、「申告分離課税で外国税額控除」のほうが、「総合課税で外国税額控除」よりも還付額が増える可能性が高いと思います。
海外ETF保有者であれば、今年の申告からさっそく使える「合法的な節税テクニック」の発見ですね。
これ以外にも、外国税額控除の申告で新しい発見がいくつかあったので、来週以降、新しいエントリでまとめたいと思います。
No:285 2010/02/04 19:32 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
中田たろう さん
おはようございます。
私の方は返事はまだですが、
>海外ETF保有者であれば、今年の申告からさっそく使える「合法的な節税テクニック」の発見ですね。
今回、配当の損益通算をできるようにするために申告分離課税ができるようになって、外国税額控除まで配当の申告分離課税が新設されたことによって、いままで総合課税の累進課税の為に我慢するしかなかった海外投資家にとっては、棚からぼた餅ですね。
>これ以外にも、外国税額控除の申告で新しい発見がいくつかあったので、来週以降、新しいエントリでまとめたいと思います。
よろしくお願い致します。
No:286 2010/02/05 06:19 | 奈々パパ #t6AeKux. URL [ 編集 ]
初めまして
初めまして
中田たろうさんのブログ拝見しました。
とても参考になりましたので、私のコラムでもリンクさせていただきました。
また時々寄らせていただきます。ありがとうございました。
No:289 2010/02/06 12:35 | カルロス #0qjM8H1E URL [ 編集 ]
Re: 初めまして
> カルロス様
はじめまして。ブログでのご紹介ありがとうございます。
エントリの内容が参考になりましたら幸いです。
No:290 2010/02/06 21:55 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
> みなさま
税理士法に抵触しているコメントがありましたので、たいへん申し訳ありませんが一部のコメントを削除させていただきました。
個別の税務相談は、税務署や税理士へお願いします。
No:294 2010/02/07 14:15 | 中田たろう #- URL [ 編集 ]
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